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发表于 2008-2-18 10:54 | 显示全部楼层 |阅读模式
就是这样。
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发表于 2008-2-18 11:43 | 显示全部楼层
把.txt修改成.htm/.html 即可
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发表于 2008-2-18 16:45 | 显示全部楼层
先把文档放在html的body标签中,然后把该html文件上传至某一服务器上,最后提供链接,就可以让别人访问了。
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发表于 2008-2-18 16:57 | 显示全部楼层
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发表于 2008-2-19 02:01 | 显示全部楼层
:mask: 楼上这是什么星球的语言啊?...
我这里显示怪怪的。。。
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发表于 2008-2-19 10:53 | 显示全部楼层
应该是传说中的乱码……
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发表于 2008-2-19 14:42 | 显示全部楼层
shift jis

にゃんコン! ネコ耳ナース? キツネ巫女?
著者 石川千里/挿絵 成瀬守

-------------------------------------------------------
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)憑依《ひょうい》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)|宮ノ森《みやのもり》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)メイドVS[#「VS」は縦中横]巫女でご奉仕競争!?

×:伏せ字
(例)オチン×ン
-------------------------------------------------------

[#挿絵(img/_nyankon_001.jpg)入る]
[#挿絵(img/_nyankon_002.jpg)入る]
[#挿絵(img/_nyankon_003.jpg)入る]
[#挿絵(img/_nyankon_004.jpg)入る]
[#挿絵(img/_nyankon_005.jpg)入る]
[#挿絵(img/nyankon_001.jpg)入る]

[#ここから2字下げ]
 プロローグ あたし、耳が生えちゃった!?
 Ⅰ 耳っ娘たちと甘い同棲生活!?
 Ⅱ 発情3Pでいきなり初体験!?
 Ⅲ メイドVS[#「VS」は縦中横]巫女でご奉仕競争!?
 Ⅳ 夢の終わり~ネコとキツネの恩返し!?
 エピローグ まだまだ終わらないニャン!?
[#ここで字下げ終わり]
[#改丁]



   プロローグ あたし、耳が生えちゃった!?



「ほ~ら。ラビ太、晩ご飯だぞ」
 茂野《しげの》大介《だいすけ》が声をかけながら、ペレットと小松菜《こまつな》の入ったトレイをケージのなかに差し入れる。すると、ジャパニーズホワイトと呼ばれる白ウサギがひょこひょこと近づいてきて、餌を食べはじめた。
「はぁ。やっと終わったか。まったく、せっかくの冬休みなのに、父さんが入院なんてするから……」
 と、すべての動物に食事を与え終えた少年は、ため息混じりにボヤいた。
 茂野動物病院は、少年の父・茂野《しげの》徹《とおる》の病院である。病院は北栗町《きたぐりちょう》という小さな町のさらにはずれにあるが、名医という評判もあって、診察日には患者がひっきりなしに訪れていた。
 徹の思考は、とにかく動物のことが最優先だった。町のはずれのいささか不便な場所に病院を建てたのも、入院した動物たちがゆったり快適に過ごせる環境を提供したかったからだという。
 また、徹は野生動物の保護などを行なうボランティア活動にも、積極的に参加していた。四日前も、彼はその活動の一環で、怪我をして動けなくなった動物の治療で山へと入ったのである。
 ところが帰りに遭難し、片足と骨盤《こつばん》を骨折してしまった。幸い、命に別状はなかったものの、当分は入院して絶対安静とのことだ。
「医者の不養生《ふようじょう》じゃないけど、動物の怪我を治しに行って自分が怪我していたら、ザマはないよなぁ」
 おかげでこの数日間は、食事をする間もろくにないくらいあわただしかった。なにしろ、動物病院に入院していた動物たちを別のところに転院させたり、飼い主のもとに戻したり、といった連絡から実務までを、ほぼすべて少年が一人でする羽目になったのである。
 それでも、空きがなくて転院させられなかったり、捨てられるなどして引き取り手のない動物たちが、十数匹ほど残っている。父の退院まで彼らの世話をするのが、冬休み中の大介の仕事だ。
 私立《しりつ》諒明院《りょうめいいん》学園《がくえん》高等部に入って最初の冬休みだったので、本当は友人たちと遊びに行く約束もしていたのだが、当然すべてキャンセルせざるを得なかった。それが、今さらながらに悔しくてたまらない。
 病院の入院施設は、イヌ科の動物専用の犬舎とネコ科専用の猫舎、さらにその他の小動物の部屋と三つに分かれている。一つひとつの部屋はそれほど大きくないものの、一人ですべてをまわって世話をしていると、結構な時間を食ってしまうのだ。
 それに、いつもは幼なじみでクラスメイトの桜沢《さくらざわ》真由《まゆ》が手伝いに来てくれるのだが、今日は珍しく朝から姿を見せていない。
「せめて、動物看護師がいてくれればなぁ……」
 運の悪いことに、つい先日まで働いていた動物看護師の女性は、クリスマスに結婚式をあげるため退職したばかりだった。挙げ句、新しい動物看護師が見つかる前に今回の事態になってしまったので、結局は院長の息子である少年がとばっちりを食った格好である。
 窓から暗くなった外を見ると、相変わらず雪が降りつづいていた。
 北栗町は豪雪地帯ほどではないものの、そこそこ雪が積もる。これだけの降雪があると、明日の朝は雪かきをする必要がありそうだ。
「さて、あとは自分の晩飯を作らないと。と言っても、今日は真由が来なかったから、カップ麺《めん》ですますしか……」
 大介がボヤきながら診察室から廊下に出たとき、病院の玄関のチャイムが鳴った。
「なんだよ? ちゃんと、『都合によりしばらく休診します』って貼り紙をしてあるじゃん」
 この雪のなか、わざわざ町はずれの動物病院まで来るというのは、よほどの緊急事態なのだろうか?
 少年が、出るべきか否か迷っていると、
「大介、いるんでしょ? 開けてニャ」
 引き戸の向こうから、聞き慣れた幼なじみの少女の声がした。しかし……。
「……ニャ?」
 真由は、語尾に「だぞ」とつけて少し男の子っぽい言葉遣いをする少女である。だが、今のようにネコもどきのしゃべり方をしたことはない。
「本当に真由か? ウチの合い鍵を持っているのに、どうしたんだよ?」
 大介は、首をかしげつつ玄関に向かった。
 幼なじみの少女は、十年前に大介の母が死んで以来、男所帯《おとこじょたい》を見かねて毎日のように食事の準備や洗濯といった家事をしに来てくれていた。おかげで、徹も真由を家族のように受け入れて、住居の合い鍵まで渡している。つまり、彼女ならわざわざ表の病院の玄関を叩かなくても家に入ることができるのだ。
 第一、こんな時間になってからやって来るのも妙な話である。手伝いをするためなら、もっと早い時間に来るだろう。
「それが、ちょっと事情があって……とにかく、早く入れてよ。寒くて仕方がにゃいんだぞ」
 少し苛ついた少女の声をいぶかしがりながらも、大介は鍵を開けて引き戸を引く。
 そこには、雪まみれのニットの帽子を深々とかぶり、分厚いコートに身を包んだ少女が立っていた。彼女の背中には、少女の上体をスッポリ隠すほどの大きなリュックが見える。この雪と寒さなので、服装のことはあまり気にならないが、見るからに荷物が大量につめこまれているリュックが、妙な違和感をかもしだしている。
「真由? なんだよ、その荷物は? まさか、家出をしてきたってワケじゃないだろうな?」
「違うぞ、バカ! 事情はすぐ説明するから、とにかく身体を温めさせてよ」
 ムッとした少女の様子に肩をすくめ、大介は傍《かたわ》らにどいた。
 雪の具合から見て、外の気温は氷点下になっていることだろう。こうして戸を開けているだけでも、冷気がどんどんと室内に流れこんでくる。立ち話などしていたら、こちらが風邪《かぜ》をひいてしまいそうだ。
「ああ、寒かった~。やっぱり、病院のにゃかってあったかくて気持ちいいニャア」
 戸を閉めて診察室に入ってきた真由が、フニャッと表情をほころばせる。
「……ニャ? 真由、おまえどうしたんだよ?」
 大介が指摘すると、なお、帽子とコートを脱ごうとしない少女が、ハッとしたように手で口を覆った。
「……あたし、また……えっと、そのぉ……」
 真由が、妙にうろたえた様子を見せて顔を赤面させる。
「いったい、なんなんだよ? その荷物のこともあるし、さっさと事情とやらを聞かせてもらおうか?」
 にらむようにうながすと、ようやく意を決したのか、少女が上目遣いに大介を見つめた。
「あの、ね……驚かないでよ。って言っても、無理かもしれないけど……でも、好きでなったワケじゃないんだからね。本当だぞ」
 しつこく前置きをする真由の態度に、少年は苛立ちを隠せなくなってきた。
「だから、どうしたんだよ? いつもの真由らしくないなぁ」
 普段の彼女は、言いすぎと感じるくらい、思ったことをはっきり口にする。その性格のせいもあって、学校でも真由を気に入っている人と嫌っている人が明確に二分されていた。そんな少女が、ここまで言葉を濁すのは非常に珍しい。
「と、とにかく、笑ったりしたらダメだぞ。あたしだって、すっごく恥ずかしいんだから」
 と言いながら、真由がためらいがちに帽子を脱ぐ。
 彼女の頭があらわになったとき、大介は目を疑った。
 リボンのついたセミロングの髪はいつも通りなのだが、その頭には見慣れないものがついていたのである。
「……耳?」
 それは、どこをどう見ても動物の耳だった。
 さらに真由はコートを脱いで、諒明院学園高等部の制服姿を現わした。制服を着た少女の姿は、すっかり見慣れている。ただ唯一いつもと違うのは、膝裏まで達する「し」の字のような尻尾がスカートの裾から見えていることだ。
 耳の形や尻尾の形から考えて、どうやらそれらがネコのものらしいことは、さまざまな動物を目にしていたからわかる。だが、大介は驚きのあまり、どう反応していいかわからなくなっていた。
「な、なによ? 少しは、なんとか言いなさいってば」
 あまりに少年が無反応だったせいか、真由が不安そうに口を開く。
「……桜沢真由。どうしてネコ耳のコスプレなんぞしているのか、理由を教えてもらいたい」
 大介がようやく言うと、少女は頬をプウッとふくらませた。
「コスプレじゃにゃいぞ! よく見てニャ!」
 怒鳴り声に合わせて、耳や尻尾がフルフルと動く。
 それでも電池かなにかで動いているのではないかと思いつつ、大介は少女に近づいて彼女の頭をマジマジと眺めた。
 通常、ネコ耳のコスプレなどするときには、耳つきのカチューシャを装着するのが一般的のはずだ。しかし、同級生の少女の頭にはそんなものはなく、ネコ耳が頭から直接生えている。もちろん、耳をじかに頭に貼りつけた可能性も否定できないが、そうであれば動いたりはしないだろう。
「まさか……?」
 首をかしげながら少年が耳に軽く触れた瞬間、真由が「にゃんっ!」と悲鳴をあげて飛びあがった。
「もう! いきにゃり、にゃにするニャ?」
 と、少女がにらみつけてくる。
「わりい。けど、本当に本物みたいだな? じゃあ、ひょっとして尻尾も?」
「えっ? あ、ちょっ……」
 少女が面食らってなにか言おうとしたが、その前に大介は尻尾を撫でていた。
「ふみゃあああんっ!」
 なんとも甘い悲鳴をあげ、真由がどこか気持ちよさそうな表情を見せる。
 今まで見たことのない艶やかな顔に、大介の胸が一瞬、大きく高鳴る。
 だが、少女はすぐに我《われ》にかえると、
「にゃにすんの、このエッチぃぃぃぃぃぃぃっ!」
 と、爪を立てた手を大きく振りあげた。
[#改ページ]



   Ⅰ 耳っ娘たちと甘い同棲生活!?



     1 意外な訪問者
 頬にうっすらと四本の引っかき傷を作られて、大介は二階の住居部に移って治療を終えたあとも不機嫌だった。
「そりゃあ、俺も悪かったけどさ。だけど、なにも引っかくことはないだろうが」
 幸い、真由が爪を伸ばしていなかったから大した傷にならなかったが、痛かったことに変わりはない。
「し、仕方がないでしょ。あたしだって、したくてやったんじゃないんだから。だいたい、いきなり尻尾を触るのは失礼なんだぞ」
 救急箱を片づけながら、ネコ耳少女がそっぽを向いて弁解する。
 ネコの礼儀作法など知らない、と思いつつも、さすがに大介もそれ以上は反論する気が起きなかった。
「それにしても、まさかミーシャの魂が取り憑《つ》いたとはねぇ……」
 と、少年はあらためてため息をつく。
 治療を受けながら少女から聞かされた話は、いささか信じがたいものだった。
 ミーシャとは、桜沢家で飼われていた雌ネコである。真由はもちろん、彼女の両親にもとても可愛がられていたが、数ヵ月前にリンパ肉腫《にくしゅ》が見つかり、しばらく茂野動物病院に入院したのち、一ヵ月ほど前に死去した。
 愛猫《あいびょう》を失った直後の真由の悲しみようは、見ているほうがつらくなるほどだった。それでも、ようやく気持ちの整理がついたのか、最近になって以前の明るさを取り戻したのである。
 そんな彼女に、ミーシャの魂が乗り移ってネコ耳少女にしてしまうとは、いったいなにがあったのだろう?
「おまえ、よっぽど恨まれるようなことでもしたのか?」
「なっ……違うわよ。ミーシャがあたしに取り憑いたのは……」
 と、真由が反論しようとしたとき、今度は住居の玄関のチャイムが鳴った。
「なんだぁ? 悪い、ちょっと待っててな」
 大介はひとまずソファから立ちあがり、玄関へと向かった。
「はい? どちら様?」
 廊下からドアに向かって言うと、
「あ……だ、大介さん? あの……わたし、|宮ノ森《みやのもり》です」
 外から、おずおずとしたソプラノが聞こえてくる。
「|宮ノ森《みやのもり》……静華《しずか》先輩!?」
 一瞬、呆気にとられた少年は、相手の正体を知って素《す》っ頓狂《とんきょう》な声をあげていた。
 宮ノ森静華は、この北栗町に古くからある宮ノ森神社の宮司《ぐうじ》の娘で、大介が通っている学園の高等部の二年生である。
(ヤバイッ! 真由がいるだけでも誤解されそうなのに、あの耳を見られたら……)
 ネコ耳になった少女のことが、万が一にも第三者に知られたら、大変な事態になりかねない。
「せ、先輩、ちょっと待ってて!」
 ドア越しに声をかけると、大介はあわててリビングに戻った。すると、真由が不安そうな目を向けてきた。
「大介、今『静華先輩』って言ってたけど……あの静華さん?」
「ああ。真由、ちょっと隠れててくれよ。先輩と顔を合わせたら、ネコ耳のことでなにを言われるか、わかったもんじゃないからな」
 なにしろ静華は巫女《みこ》で、また霊感を持っているという噂もある。死んだ飼いネコの霊に取り憑《つ》かれた少女を見たら、どんな反応を示すのか考えるのも恐ろしい。
 加えて、少年を介する形で顔なじみになっているとはいえ、真由がここにいるのを静華に見られたら、あらぬ誤解を受けてしまう気がする。
「じゃあ、あたしは大介の部屋にいるから、なんとか静華さんに気づかれないようにしてよ。あたしのことを話したりしたら、絶対にダメなんだぞ」
 少年の思いに気づいた様子もなく、真由が目を開く。
「わかってるって。とにかく、しばらくおとなしくしていてくれよ」
 そうして、少女が荷物を持って部屋に隠れるのを見届けてから、大介は再び玄関に向かった。
「寒いのに待たせてゴメン、静華先輩。今、開けるから」
 とドアを開けると、そこには確かに大介がよく知っている、腰までの長い髪が印象的な少女の姿があった。彼女は、頭全体を隠すようにスキー帽を深々とかぶり、足もとまで隠れるロングコートを着こんでいる。おまけに、手には大きなボストンバッグが握られていた。
 ドアが開いて顔をあげた静華が、少年を見て目を丸くする。
「大介さん? その顔、どうしたんですか?」
 頬にうっすらと傷が残っていることを思いだし、大介はあわてて手でそれを隠しながら苦笑いを浮かべた。
「いや、ちょっと……それより、静華先輩こそこんな時間にどうしたのさ? それに、その荷物はいったい?」
 そう聞いてから、少年は学校でも一、二を争う美貌と評判の美少女が、ひどく陰鬱《いんうつ》な表情を浮かべていることに気づいた。
「あの……ごめんなさい、急に押しかけて……でも、わたし、ここに来なきゃいけなくて……」
 今にも泣きだしそうな顔で、少女が口を開く。
「とにかく、そんなところに立ってたら寒いでしょ? さあ、あがってよ」
 とうながすと、静華は少しためらいがちに玄関へと入ってきてドアを閉めた。
「先輩、ウチへ来なきゃいけなかったって、どういうことさ?」
「そのぉ……実は、信じられないことだとは思うんですけど、えっと……わたしも、どう説明していいかわからないコン……でも……」
 上級生の少女は、すっかりしどろもどろになっている。そのため、自分が口走った言葉に違和感があったことにも気づかなかったようだ。
 少年が「コン?」と首をかしげると、静華はハッとして口をふさぐ。
「まさか……先輩まで、ネコ耳になって尻尾が生えちゃった、とか言わないよね?」
 彼女の態度や格好、大きな荷物を見ていて、大介は思わずそう聞いてしまった。
 ところが、笑われるかと思いきや、少年の言葉を聞いた静華の表情がピキッと音をたてんばかりに強《こわ》ばった。
「だ、大介さん……どうして、それを?」
 少女の思いがけないリアクションに、今度は大介が驚く番だった。
「ほえ? まさか、本当にそうなの?」
「ええ。と言っても、わたしはネコ耳じゃありませんけど……」
 覚悟を決めたのか、少女がゆっくりと帽子を脱ぐ。
 その頭に生えていたのは、毛がフサフサと生えて二等辺三角形をした大きめの耳だった。さらに、コートを脱いで制服姿をさらした静華のスカートの裾からは、ふんわりとしたやや長めの尻尾が顔をのぞかせている。
「あああああっ!!」
 大介が驚きの声をあげるより早く、背後から甲高《かんだか》い叫び声が聞こえてきた。
 振り向くと、物陰から飛びだしたネコ耳少女が、静華のことを指差している。
「え? ええっ? どうして真由さんが? それに、その耳は……」
 驚く上級生を尻目に、真由は指を差したまま脱兎《だっと》のごとく一気に二人に近づき、さまざまな角度から静華の耳や尻尾を眺めはじめた。
「……うわぁ、静華さんのも本物だぁ……」
 観察モードに入っていたネコ耳少女が、驚きともなんともつかない声をもらして上級生から離れる。
 想定していなかった展開の連続に、大介は頭を抱えるしかなかった。
「はぁ~。真由、おまえ部屋で待ってろって言ったのに、なんで……?」
 すると、ネコ耳少女はようやく自分がなにをしていたか思いだしたらしく、「ふえ?」と声をあげて目をパチクリさせた。それから、妙にオドオドと視線を泳がせながら、
「えっと……だ、大介が静華さんに変なことをしないか、こっそり見張っていただけだぞ。そうしたら、静華さんのキツネ耳が見えたから……その、ビックリしちゃったんだニャン」
 いささか納得のいかない言いわけだったが、今はそのことをあれこれ追及するどころではない。
 そう、静華の頭にはまがうことなきキツネの耳が、そして臀部からはキツネの尻尾が生えていたのである。
「あ~……なんで、静華さんにキツネ耳が生えてるの?」
[#挿絵(img/nyankon_021.jpg)入る]
 大介が疑問をぶつけると、一歳年上の少女がおずおずと口を開いた。
「えっと……この前死んだコンちゃんの霊が、わたしに憑依《ひょうい》したんです」
「キツネの……コン? ああっ、もしかして!」
 少年は、ようやくその正体に思い当たった。
 真由の飼いネコのミーシャが死ぬ直前、静華が茂野動物病院に一匹の野ギツネを担ぎこんできたことがある。それは、巣立ちをして間もない雌のホンドギツネだった。
 だが、キツネは自動車にはねられたそうで、内臓に甚大《じんだい》なダメージがあって父でも手の施しようがなかったらしい。それでも父は可能な限りの治療をつづけ、静華もキツネが死ぬまでの二週間、学校帰りや神社の務めの合間に、毎日のように見舞いに来ていた。
 やがて、キツネが力つきて死んだとき、少女は大切なペットが死んだように泣き崩れ、しばらくは声をかけるのもはばかられるほど落ちこんでいたものである。
 学園で飼われている動物の世話を、率先して引き受けるほど動物好きな少女にとっては、たとえ野生のキツネであっても、死を目の当たりにするのはつらかったらしい。
(ミーシャにコンか……それにしても、同じタイミングでいきなり二人に憑依するなんて、いったいどういうことなんだ?)
 そんな疑問があらためて脳裏をよぎり、大介はとにかく話を聞こうと二人に向き直った。


     2 一つ屋根の下
「……そうだったんですか、真由さんも」
「ホントにビックリ。静華さんも、あたしと同じだったんだぁ」
 大介の前のソファに並んで座っている二人の少女が、互いに話を終えて安堵《あんど》したような表情を浮かべる。
「う~ん……事情は、だいたいわかったよ。そうか、それでウチに来たんだ」
 腕組みをした少年は、一通りの話を聞いてため息をついた。
 それぞれ若干事情は異なるものの、真由と静華がほぼ同時に耳っ娘になったのは偶然ではなかったのである。
 真由と静華は、それぞれに取り憑《つ》いた動物霊と心で会話することができる。ただ、そうして二人が大介に語った話は、にわかには信じられないものだった。
 彼女たちによると、成仏《じょうぶつ》できなかった動物霊が人間や他の動物に憑依するには、いくつかの条件をクリアしなくてはならない。
 その一つが、四十九日までの満月の夜に儀式を行なうことである。他にもいくつかの条件はあるが、とにかく満月の神秘の力を借りて動物霊は他者に取り憑《つ》くことができるのだ。そして、昨日がちょうど満月だったのである。
 ちなみに、この条件や儀式の方法は、動物の世界で親から子へと語り継がれているらしい。とはいえ、人間への憑依《ひょうい》の成功率は決して高くないため、行為自体がタブー視されているとのことだ。
 それでも二匹が憑依に踏みきったのは、茂野動物病院の危機があった。
「ミーシャは、この病院にすごくお世話になっていたから、恩返しをしたいって思っていたのよ」
「コンちゃんも、死にかけていた自分に治療をしてくれた先生に感謝していて、やっぱりなにか恩返しをしたいって、ずっと思っていたらしいんです」
「で、父さんが入院して俺が苦戦しているのを見かねて、それぞれよくしてくれた相手に憑依した、と……」
 納得のいくような、いかないような話ではあったが、現実にネコ耳だのキツネ耳だの見せられたら、ひとまず信じるしかないだろう。少なくとも恨みなどで憑依したのではないのは、二人の動物たちとの交流の仕方を見ていれば明らかだ。
 そもそも、大介が静華と知り合ったのは、学園で飼われている動物の世話がキッカケだった。一歳年上の少女は、一年生のときから動物の世話係を買ってでて、二年になっても一日も休まずつづけていたのだという。その点、家が動物病院だからと半ば強制的に役割を押しつけられた少年とは、心構え自体が違う。
 もちろん、ミーシャを愛してやまなかった真由も、他の動物たちの世話を熱心に手伝ってくれていた。恨まれることなど、まず考えられない。
「それで、ミーシャの話では、成仏《じょうぶつ》するにはおじさんが退院する頃まで、あたしが病院を手伝わなきゃいけないんだって」
 ネコ耳少女の言葉に、静華も大きくうなずく。
「わたしも同じです。院長先生の退院日が決まれば、コンちゃんは成仏すると言っています」
「だけどなぁ。手伝うと言っても、病院を勝手に開けるわけにはいかないし」
 大介は、半ばボヤくように答えるしかなかった。
 父を手伝っていたおかげで、少年も少しくらいなら動物の治療をすることはできる。しかし、獣医として活動するには獣医師免許が必要なので、勝手なことをすれば法律違反に問われてしまう。そもそも、注射や薬の処方ができないのだから、病院を再開することなどできっこない。
「え、えっと、それなら大丈夫ニャン。別に、開いている病院を手伝うんじゃなくて、大介が今やっていることをフォローすればいいだけだぞ」
「そう、そうなんだコン。その、わたしたちも素人《しろうと》ですから」
 あわてた様子の真由に、キツネ耳少女もなにやら泡を食って同意を示す。
 その言動に妙な違和感はあったが、彼女たちがそうだと言うのなら大介にはこれ以上ツッコミのしようがない。
「そっか。じゃあ、いいけど……でも、どうして住みこみなのさ? 特に真由の家は、ウチから近いんだし」
 と聞くと、ネコ耳少女が「呆れた」と言わんばかりに大きなため息をついた。
「あのね、この耳で人前にそうそう出られると思う? もしも誰かに見られたら、大変なことになっちゃうぞ。それに、ウチのお父さんもお母さんも、理由を話したらちゃんとわかってくれたもん」
「わたしも、真由さんとほとんど同じです。しかも、父からは『巫女がキツネに憑《つ》かれるとはなにごとか』とお叱りを受けてしまって……コンちゃんが成仏《じょうぶつ》するまで、神社の敷居をまたぐことを禁止されてしまいました」
 一歳年上のキツネ耳少女のほうも、おずおずと理由を説明する。
 ちなみに、宮ノ森神社では除霊の類《たぐい》もやっているので、当然のごとく静華も父からお祓《はら》いを受けたのだが、まるで効果がなかったとのことだ。どうやら、祈祷《きとう》で祓えるのはあくまでも悪霊であって、コンのように邪念のない存在を強制的に排除することはできないらしい。
 だが、そんな理屈は一般人には通用しない。宮司《ぐうじ》の娘が、よりによってキツネの霊に憑依《ひょうい》されたとあっては、神社の威信にもかかわるのだろう。
 しかし、二人の表情がちっとも迷惑そうに見えないのは、大介の気のせいだろうか?
 とはいえ、確かに彼女たちの言葉にも一理ある。本物のネコ耳やキツネ耳を誰かに見られてもしたら、いくら小さな町でも大変な騒ぎになることは必至だ。
(だけど、女の子二人と一つ屋根の下で暮らすってのは、さすがにちょっと……)
 ましてや、真由のことも静華のことも、気になる存在として意識しているのだ。そんな美少女たちと寝泊まりをしていたら、いったいどういうことになってしまうか。
(なんか、とんでもないことになりそうな気が……)
 背筋に氷水のような冷たい汗が流れ、大介は悪寒《おかん》で体をブルッと震わせた。


     3 マタタビ
「大介。シマタロウが、お腹空いたって」
「大介さん。ワン太くん、右の前足の傷が痛むそうです」
 猫舎と犬舎に分かれていた真由と静華が、ほぼ同時に少年を呼ぶ。
 驚いたことに、動物霊に取り憑《つ》かれた少女たちは、他の動物と会話ができるという特殊能力を会得していた。おかげで、入院中の動物たちがなにを望んでいるのか、正確につかめるのは心強い限りである。
「食事はできてるから、真由があげておいてくれ。俺、ちょっとワン太を診《み》るからさ。静華先輩、ワン太を診察台に連れてきて。傷を消毒して、包帯を替えるよ」
 大介の指示に、ナース服姿の二人の少女がそれぞれに動きだす。
 押しかけてきてから一晩が経ち、真由と静華はさっそく大介の手伝いに取りかかっていた。ひとまず、ネコの霊に取り憑かれた少女には猫舎を、イヌ科のキツネに取り憑かれた少女には、犬舎のほうを見てもらっている。
(しっかし、なんで二人ともナース服を来ているんだろう?)
 手伝いをするだけなら私服にエプロンで充分だろうに、なぜか真由も静華も尻尾を出せるように改造したナース服を着用していた。なんでも、「この格好のほうが働きやすいから」とのことだが、どうも意図がよくわからない。
 もっとも、少年も白衣を着ているのだから、人のことは言えないかもしれないが。
「それにしても……」
 と、大介はあらためて少女たちに目をやった。
 ネコ耳ナースとキツネ耳ナースがかいがいしく働く様子は、以前テレビでやっていたコスプレ喫茶の光景のように見える。こんな格好のナースが出てきたら、ペットを連れてきた人もさぞかしビックリするだろう。その意味でも、休業のままにしておいたのは正解だった気がする。
 おまけに、真由に至ってはナース服を着たとき、妙にはしゃいで「似合うニャ?」などとポーズを取り、少年を少しドキッとさせたりもした。まるで、本当にコスプレを楽しんでいるような節さえある。いや、もしかするとあれは真由ではなく、ミーシャの意識だったのかもしれないが。
 とはいえ、ほとんどすべての仕事を一人ですることを考えれば、格好はどうでも人手があるだけでありがたかった。
 そんなことを考えていると、静華が全長五十センチほどの雑種の犬を身体の前に抱えて診察室にやって来た。正確に意思が伝わるおかげか、あるいはイヌ科の動物霊が憑いた少女に安心感を持っているのか、ワン太はいつになくおとなしい。
 この犬は、どうやら前の飼い主に捨てられたらしく、怪我をして病院に担ぎこまれたとき、ボロボロの首輪をしていた。そんな経緯のせいか、ワン太は人間に不信感を持っていて治療のときに暴れることが多々あるのだが、今日は驚くほど静かだ。
「ワン太くん、いったん包帯を取ってお薬を塗りますからね。少しの間、ジッとしていてください」
 キツネ耳の少女が語りかけると、犬が「クン、クーン」と小さく鼻を鳴らすように答える。
「静華先輩、今ワン太は『わかった』って言ったの?」
「いいえ。『痛くしないでくれよ』です」
「ほえ~、そうだったんだ。さすがに、言葉がわかると違うもんだねぇ」
 大介は感心しながら、診察台の上にいる犬の頭を撫でた。
「だけど、傷口をちゃんと消毒しないといけないから、ちょっとだけ染みるかもよ。それだけは、我慢してな」
 と声をかけ、少年は右前足の包帯を取り、傷口に消毒薬を塗った。
 すると、ワン太が「キューン」と情けない声をあげて身じろぎをはじめる。
「ワン太くん、薬が染みて痛いそうです」
 すぐに、静華が犬の言葉を代弁した。
「消毒薬だからね。すぐ痛くなくなるから少し我慢してって、言ってあげてよ」
 少年が言うと、静華がワン太になにごとかささやくように声をかける。
 すると、犬が目を閉じて身じろぎをやめた。
 大介は手早く薬を傷に塗って、新しい包帯を巻いた。
「よし、おしまい。じゃあ、あとは真由からご飯をもらって、しっかり食べろよ」
 少年のその言葉も、キツネ耳少女がワン太を胸に抱きあげながら伝える。すると、犬のほうがなにやら「ワンワン」と静華に言った。
「ワン太、なんだって?」
「はい。『兄さん、いい腕をしているね。父親みたいな医者になれるかもよ』です」
「医者……獣医ねぇ」
 ワン太の言葉が、大介の胸にチクリと突き刺さる。
 進路を確定するにはまだ時間があるものの、正直、少年は獣医になる気などなかった。確かに動物は好きで、世話も決して苦痛ではない。だが、これを仕事とすることには躊躇《ちゅうちょ》してしまう。
 また、利益度外視でほとんど休みなく働く父の姿を幼い頃から見ていると、こんな仕事を一生つづけられる自信もなかった。
 もちろん利益があまりないのは、徹が格安の診療を請け負い、またボランティアでペット以外の動物の治療まで引き受けているせいなので、いくらでも改善の余地はあるだろう。しかし、そのことを差し引いても、動物の命を預かる重荷は背負いたくない、という気持ちが強い。
(だけど、じゃあ俺はいったいなにをしたいんだ?)
 今さらながら、そんな思いが心にこみあげてくる。
 大介がワン太を抱えた静華が犬舎に入るのを見ていると、入れ替わるようにネコ耳ナースの少女が姿を現わした。
「大介ぇ。ネコしゃんたちの食事、じぇ~んぶ配ったニャ~ン」
「おお、サンキュー。って、真由どうしたんだよ!?」
 少年は、幼なじみの異変に気づいて目を丸くした。真由の顔は真っ赤になっていて、足もともおぼつかずにフラついている。まるで、泥酔《でいすい》しているかのようだ。
「あはは~。しょれがぁ、食事を配り終わってから、夜の準備をしよーと思って倉庫に行ったんだニャ~。そーしたら、にゃ~んだかとってもいー匂いがする箱があって、開けてみたらスプレーが入っててぇ……」
 最後まで聞くまでもなく、大介はその正体に思い当たった。
「ま、まさかマタタビエキススプレーを噴射したんじゃ……」
 ネコ耳少女の様子から推測して、まず間違いない。真由に取り憑《つ》いたミーシャの霊がマタタビエキスに反応して、このような状態になってしまったのだ。
「にゃは~。大介が二人に見えるニャ~。わーい、大介がいっぱあいだぞぉ」
 意味不明なことを言いながら、真由がなおも千鳥足《ちどりあし》で歩いてくる。
「真由、しっかりしろって。ちょっとそこに座れよ」
 今にもどこかに頭をぶつけそうな少女の様子に、さすがに心配になって大介は自分からネコ耳ナースへと近づいた。すると、
「ふみゃあ。大介ぇ!」
 と、不意に真由が少年に抱きついてきた。
「ちょっ……お、おい、真由?」
 小振りなふくらみが体に押し当てられ、少女の匂いが鼻をくすぐる。
(うわっ、真由のオッパイが当たって……それに、なんだかいい匂いがするぞ)
 ここ何年か、彼女がこれほど身体を密着させてきたことはなかった。こうされると、言葉遣いなどはともかく真由が女の子なのだ、ということをあらためて実感する。
「大介、らーいすけぇ。スリスリ……」
 こちらの動揺に気づいた様子もなく、ますます酩酊《めいてい》の度合いを深めた真由は、自分の頬を少年の頬にこすりつけてきた。まさに、飼い主に甘えるネコの仕草そのものだ。
 しかも、少女の尻尾は垂直に立って、先端がゆるやかにピクピクしている。毛が逆立っていないので、これは愛情や好奇心のサインだ。
 突然のことに、大介は硬直したまま身動きできなくなってしまった。もしも、静華がいなくて二人きりだったら、押し倒していたかもしれない。
「はっ。ま、真由! こら、離れろって!」
 年上の少女のことを思いだして我《われ》にかえった少年は、あわてて真由を引き剥がそうとした。
「や~だニャ~。あらしはぁ、らいすけといっしょがいいりゃ~。らいすけは、あらしのころが嫌いにゃ~のりゃ~?」
 酩酊《めいてい》状態の少女が、呂律《ろれつ》のまわらない口調で言いながら、逆に思いきり大介に体重を預けながら、なおも頬をこすりつけてくる。
「い、いや、その……嫌いってことは……」
「じゃあ、しゅきにゃのりゃ? うれひーにゃー」
「な、なに言ってんだよ? だから、離れろって! そんなにくっついたら……」
 少年の言葉を無視して、真由がさらに全身の体重をかけてきた。どうも、匂いつけをしているつもりらしい。
 だが、のしかかられるようなことをされては、大介のほうがたまらない。
 ナース服とブラジャー越しに感じられる、小振りなふくらみの感触。そして、以前は感じなかった女性の香り。それらが、少年の心から平常心を奪っていく。
(や、ヤバイよ、これ……いくらミーシャが取り憑《つ》いているからって、真由がこんなに大胆な……だけど、確かにこうして見ると可愛いかも)
 大介にとって、真由は家族同然で側にいるのが当たり前の存在だった。なにしろ、母が死んでからは毎日のように家事をしに来てくれるし、病院が忙しいときには動物たちの世話も手伝ってくれる。加えて、「お風呂に入った?」「宿題やった?」だのと、母親のような小言を言ってくるのだ。おかげで、学園の高等部に進学した頃は、もう彼女が異性だという感覚を半ばなくしていた。
[#挿絵(img/nyankon_035.jpg)入る]
 だが、クラスメイトの男子たちが、「桜沢って、けっこう可愛いよな」などと噂しているのを聞いているうちに、なんとなく心中が穏やかではなくなってきた。
 あまり意識していなかった……いや、意識しないようにしてきたが、こうして間近で見ると、なるほど真由はクラスメイトの女子たちと比較しても、充分に可愛らしい。もっとも、口を開くといささか粗暴なので、引いてしまう部分もあるのだが。
 とはいえ、そんな欠点や、静華に比べて身体の成熟度に劣る面を差し引いても、クラスの男子たちの気持ちもわかる気がする。
 などと、半ばパニックを起こしながら考えていたため、大介の注意力は一瞬、完全に途切れていた。そのため、真由の体重を支えきれなくなって、体のバランスが崩れる。
「うわっ、とっ、とっ、とっ……」
 声をあげながら後退しつつ、大介はどうにかバランスを保とうとした。だが、そのまま背中を壁に思いきり打ちつけてしまう。
 少年に抱きついていた真由も、弾みで額《ひたい》を壁にぶつけて「ふみゃんっ!」と情けない声をあげて力を緩めた。
「イテテ……真由、大丈夫か?」
 と声をかけると、ネコ耳少女が額を押さえながら目を開けた。
「う~。顔を思いきりぶつけちゃったぞ。もう、なにがどうなって……」
 真由の言葉が、そこでふと途切れる。
「ん? どうした?」
 少女の顔を見た大介は、彼女の目が大きく見開かれていることに気づいた。その表情からは、マタタビに酩酊《めいてい》していた様子はうかがえない。おそらく、壁に顔をぶつけたショックで、正気に戻ったのだろう。
「な……な……な……」
 丸くなっていた真由の目が、見るみる逆三角形に吊りあがっていく。そして、いったん白面になった顔色が、今度は怒りの赤に染まった。
「大介ぇぇぇぇぇぇ!! あんた、あたしになにしてんのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
 幼なじみの少女が、一キロ四方に響き渡りそうな怒鳴り声をあげ、バッと飛び退く。
「ちょ、ちょっと待て。真由、なにも覚えて……」
 なんとか事情を説明しようとしたが、すでに彼女の耳には大介の声など届いていないようだ。
「問答無用ぉぉぉぉぉぉぉ! くぉの、エッチィィィィィィィィィッ!!」
 叫び声とともに、真由の渾身《こんしん》の右ストレートが少年の顔面にクリーンヒットした。


     4 ラブハプニング
「だから、ゴメンって謝ってるでしょ。いつまでも根に持ってるなんて、男らしくないぞ」
 食卓についた真由が、バツが悪そうにしながらも、そう言って頬をふくらませる。
「うるせー。人の言うことも聞かないで、いきなりぶん殴ってくるヤツに言われたくねーよ」
 と、大介はそっぽを向いたまま切りかえす。
 少年を思いきり殴ってから、真由は、ようやく自分の記憶が曖昧《あいまい》だったことを思いだした。それから大介が懸命に事情を説明して誤解は解けたものの、殴られたダメージが消えるわけではない。
 相手が男なら、こちらも一発殴っておあいこにしてもいいだろう。だが、いくら男勝りでも真由は女の子なので、ここは大介としても泣き寝入りするしかない。とはいえ、理不尽に殴られた憤《いきどお》りが簡単に消えるはずもなかった。
「えっとぉ……だ、だけど、マタタビに酔うなんて、取り憑《つ》いた動物の影響が人間にもけっこう出るんですねぇ?」
 真由の隣に座っている静華が、かすかに頬を引きつらせながら口を開いた。どうやら、大介と真由の間に漂う険悪な雰囲気を少しでも和《なご》ませようとしているらしい。
「そ、そうなのよ。ホントに、ビックリしちゃうよね?」
 年上の少女の意図を察したのか、真由が飛びつくように応じる。
「しかも、あたし猫舌になっちゃったんだぞ。おかげで、熱々の料理を食べられないのが悔しくて」
 と言葉をつづけて、ネコ耳少女が唇を尖《とが》らせた。
 なるほど、真由はシチューやグラタンといったものが大好物だ。猫舌になってそれらを熱いまま堪能《たんのう》できなくなったのは、やや痛手らしい。
 そうして、ようやく雰囲気が和んできたところで、昼食となった。
 朝から仕事をしていたのに、あんな騒動などがあってバタバタしていたら、いつの間にか昼である。まして、今は二人に仕事を教えながらなので、一人でやっているときより時間がかかるくらいだ。しかし、何日かすれば一気に楽になるだろう。
 昼食が終わると、今度は動物たちを順番に洗う、トリミングの作業に取りかかることになっていた。
 万が一にも、院内で皮膚の病気などが発生し、伝染でもしたら大変なことになる。
 そのため、こまめにシャワーをして犬やネコたちの清潔さを保ってやらなくてはならない。これも、立派な仕事だ。
「じゃあ、まずは犬たちから洗ってやろうか」
 今、病院にはワン太以外にも、三匹の犬がいる。彼らを洗うだけでも、結構な手間と時間がかかる。
「あの……わたしに、洗わせてもらえませんか?」
 少年が犬舎に向かおうとすると、静華がおずおずと申しでてきた。
「静華先輩、平気なの?」
「自信はありませんけど……前から、トリミングには興味があったので」
 そう言った少女の瞳は、好奇心で輝いている。
「わかったよ。じゃあ、俺が教えるから、やってみようか?」
 と、大介は肩をすくめて答えた。
(ちょっと難しいんだけど、静華さんは犬たちと話ができるんだから大丈夫だろう)
 そんな判断もあったし、しばらく病院を手伝うなら早いうちにいろいろな仕事を経験しておいたほうがいいはずだ。
「じゃあ、あたしはネコちゃんたちを運動部屋に連れていくわね。少し運動させてあげないと」
 そう言って、真由が猫舎に向かう。
 運動部屋は廊下の突き当たりにあり、二階のリビングルームよりも広い。そこはハムスターやウサギなど、外に逃げたら厄介な小動物の運動はもちろん、犬や猫のリハビリ、冬季の遊び場としても使われる部屋である。犬や猫が運動不足にならないよう、室内には階段をはじめさまざまな道具が置いてあり、遊ばせておけば洗浄室が空くまでのいい時間つぶしになるだろう。
 トリミングの仕方を簡単に教えると、静華がポメラニアンを抱きかかえて洗浄室へと向かった。
 心配なので、一応は大介もついていく。
「フーバーくん、温かいシャワーをかけましょうねぇ」
 少女が優しく語りかけながら犬を浴槽におろす。言葉がわかる安心感からか、フーバーもおとなしくしている。
 それからシャワーでお湯をかけ、シャンプーをするという手順で、犬は気持ちよくなる……はずだった。
 ところが、静華がシャワーをかけた瞬間、ポメラニアンが「キャインッ!」と甲高《かんだか》い声をあげて、もがくように暴れはじめた。
「きゃあっ! ご、ごめんなさい! 水を出しちゃいましたぁ!」
 パニックを起こした少女が、アタフタしながら悲鳴をあげる。どうやら、シャワーの操作を間違えて、お湯ではなく水をかけてしまったらしい。お湯と思っていたのに冷水を浴びせられたら、犬でなくても驚くだろう。
 フーバーが思いきり体を振り、あたりに水滴を飛び散らせる。
 犬に雫《しずく》をかけられて、静華が「きゃっ」と声をあげ、反射的に手で顔を覆う。だが、その手には水が出たままのシャワーヘッドが握られていた。
「きゃああああっ! 冷たいっ!」
 少女は、自分の身体にシャワーをかけてしまい、悲鳴をあげてその場に座りこむ。
 なにしろ冬の水なので、じかに浴びたら冷たくて当然だ。
「静華先輩、なにやってんだよ」
 大介は急いで近づくと、シャワーのコックをひねって水をとめた。
「あ、ありがとうございます~。うっかり、ウチのシャワーと同じ感覚でやっちゃいましたぁ」
 と言いながら静華が顔を振り、身体を震わせて犬のように水を振り払おうとする。
(静華先輩って、意外とドジなのかも)
 大介は日頃の言動などから、一歳年上の上級生がけっこうソツなくなんでもこなすタイプだと思っていた。しかし、これは想像もしていなかった一面である。
「うう~。服に水が染みこんで、気持ち悪いコン」
 キツネの意識が前に出てきたのか、静華の口調が少し変わる。
「先ぱ……」
 あらためて声をかけようとした大介は、思わず言葉を失った。
 キツネ耳少女の身体には、濡れたナース服がピッタリと張りつき、ふくよかなふくらみの形がはっきりと浮きでていた。しかも、ペタン座りをしていることも相まって、なんとも言えない色気がかもしだされている。
「……あ、えっと……お、俺がフーバーを拭いてやるから、静華先輩は上で早く着替えてきなよ。そのままじゃ、風邪《かぜ》ひいちゃうからさ」
 大介はあわてて視線をそらし、ポメラニアンにタオルをかけて水滴を拭きはじめた。
「ゴメンな、フーバー。すぐ、ちゃんとお湯でシャンプーしてやるから、ちょっと待ってろよ」
 と犬に声をかけながら、自分の動揺もどうにか静める。
 だが、少年がフーバーを拭き終えても、静華がその場を去った気配はない。
「静華先輩、だから早くしないと……って!?」
 再び上級生のほうを見た大介は、絶句して凍りついた。
 なんと静華は、立ち去るどころかナース服の前をはだけ、淡いブルーのレースのブラジャーに包まれたバストをあらわにしていたのである。
「し、静華先輩?」
「もう、こんなの着てられないコン。ここで脱いでいくコン」
 と、一歳年上の少女は恥ずかしがる様子もなくナース服を脱ごうとする。どうやらキツネの霊は、びしょ濡れで身体にまとわりつく衣服が、よほど我慢できないらしい。
「だーっ! ちょっと待ったあ! こんなところで脱いだらダメだって! 脱ぐなら、自分の部屋に戻ってからにしてよ」
「やだコン。気持ち悪いし、冷たくて寒いコン」
 そう言いながら、静華はとうとうナース服を完全にはだけてしまった。
 水に濡れた長い髪に白い肌、ふくよかなバストと細くくびれたウエスト、そしてブラジャーとお揃いのデザインのパンティーに包まれた豊満なヒップ。それらが、なんとも言えない艶やかさをかもしだしている。
「う~、ブルブル。大介さん、寒いから温めてほしいコ~ン」
 少年が呆然として見とれていると、身体を震わせた少女がナース服を羽織ったまま飛びついてきた。
「うわっ。ちょ、ちょっと、静華先輩?」
 突然の行動に、少年はその場に押し倒されてしまう。
 さらに、静華は身体をピッタリと押しつけてきた。
「くう~ん。大介さん、やっぱりあったかいコ~ン。スリスリ……」
 と、少女が身体をこすりつけてくる。
(うおおお! お、オッパイが……真由より大きくて、柔らかいぞ)
 ブラジャーに包まれたふくらみの感触を胸に感じて、少年はついつい抵抗を忘れてしまった。
 先ほど、マタタビエキススプレーに酔った真由にも密着されたが、やはり静華のほうがバストのボリュームがある。そのため、ブラジャー越しとはいえ胸に当たる双丘から、より弾力と柔らかさが伝わってくる。
「ん~。なんか、これも邪魔だコン。はずしちゃったほうがいいかなぁ?」
 と言って、静華がいったん身体を起こし、自分の背中に手をまわした。
(ま、まさか、生オッパイを……)
 と思っているうちに、静華がブラジャーをはずしてふくよかなバストをあらわにした。大介はというと、もう頭が真っ白になって、目を皿のようにしながら魅惑的な二つのふくらみを網膜に焼きつけるように見つめるしかない。
「きゅう~ん。大介さん、寒いコ~ン」
 と、再び静華がまたがるような格好で少年に抱きついてきた。今度は、胸板にふくらみがじかに当たり、その柔らかさや弾力が衣服越しながらも生々しく感じられる。
 さらに、キツネ耳少女の匂いも漂ってきて、大介の理性を麻痺《まひ》させていく。
 少年の股間のモノは、初めての感触に興奮し、すでにパンツの奥で最大級に勃起していた。
「キュウ~ン。大介さん、あったか~い。もっと、わたしをあっためてほしいコン」
 大介の昂《たかぶ》りを知ってか知らずか、少女が身体をこすりつけはじめる。
 すると、静華の腰がちょうどズボンの奥の肉棒に当たり、背筋に自慰のときに感じるゾクゾクするような感覚がもたらされる。
(うわっ。静華さんの股間が、俺のチ×ポにこすれて……)
 果たして、彼女にその意図があるのかどうかはわからない。だが、スリスリと身体をこすりつける少女の動きが、ちょうどズボンの上からペニスを刺激する形になっていた。
「あっ。し、静華さん、ダメだよ。そんなにされたら……」
 射精感がこみあげてきて、少年は思わず情けない声をあげた。
 ズボンとパンツ越しとはいえ、初めて他人に一物を刺激されているせいか、自分でも信じられないくらいあっさりと、昂りが頂点に向かいつつある。まして、憧れの上級生の柔らかさや匂いを感じているのだから、どうにも興奮を抑えることができない。
「んん~。大介さん、大介さ~ん」
 少年の変化に気づいた様子もなく、静華はなおも全身をスリスリと動かしつづける。
「うあっ。だ、ダメ……もう、出ちゃう……くうっ」
 たちまち我慢の限界を超えて、大介はズボンのなかで精を放っていた。パンツの奥にネットリしたものがひろがり、栗の花のような匂いもそこかしこに振りまかれている気がする。
「ん~、なんだコン? なんだか、変な匂いがするコン」
 さすがに静華も気づいたらしく、身体の動きをとめて顔をあげる。
「クンクン……この匂い、どこから? それに臭いけど、なんとなく身体の奥が熱くなってくる気がするコン」
 と言いながら、少女が鼻を鳴らすように匂いを嗅いで、大介の股間を見つめた。すでに、ズボンにもシミがひろがっているはずだが、幸いと言うべきか白衣のおかげでそれは見えない。
「匂いは、ここからするコン。いったい、なんだコン?」
 興味津々といった感じで、静華が少年の股間に手を伸ばす。
(うわあ。パンツのなかで射精したところなんて、見られたら恥ずかしすぎるよ。けど今の静華さんなら、もしかしてもっとすごいことをしてくれたりして……)
 気恥ずかしさと期待感から、大介は息を呑んで少女の次の動作を見守った。
 静華が大介の白衣をまくりあげて、股間部分にシミのできたズボンを眺める。
「キュ~ン。大介さん、どうしたコン? オシッコしちゃったコン?」
 と聞かれても、さすがに恥ずかしくて答えようがない。
「ん~。大介さんもズボン脱いじゃうコン。風邪《かぜ》ひいちゃうコ~ン」
 そう言いながら、少女が大介のズボンに手をかけようとする。
 もはやとめようという気も湧かず、少年は生唾を呑みこみながら静華の行動を待つ。
 そのとき、不意に少女が「クシュンッ」と可愛らしいクシャミをして手をとめた。
「あら? えっと……わたし、いったいなにを……」
 静華が首をかしげながら、目をパチクリさせる。どうやら、クシャミをした拍子に本来の彼女の人格が戻ったらしい。
(ちぇっ、惜しい。いや、助かったのかな?)
 という複雑な思いを抱きながら、大介は大きくため息をついて口を開いた。
「静華先輩、もとに戻ったんなら、どいてくれると嬉しいんだけど」
「えっ? 大介さん? あっ……わたし、どうして……」
 混乱した面持ちで首をかしげた静華は、下にいる少年を見つめた。それから、自分の身体に目をやる。
「…………き……きゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 やや間をおいてから、少女がすさまじい悲鳴をあげ、ふくらみを隠して大介から飛び退いた。
「ああああああの、わたしいったい……なんでこんな……あの、その……」
 よほど頭が混乱しているのだろう、彼女の言葉には脈絡もなにもない。
「え~っと……なんと言えばいいのか……その、ようするにコンの意識が表に出てきて……ですねぇ」
 大介も、自分のあまりに情けないところを見られた羞恥心と、少女のあわてっぷりに戸惑い、どう説明していいかわからなくなってしまった。それに、一刻も早く部屋に戻ってズボンとパンツを穿き替えなくては、気持ち悪くて仕方がない。
 ところが……。
「だ~い~す~け~。どーゆーことか、じ~~~っくり聞かせてもらうぞ~」
 不意に、背後からドスの利《き》いた声が聞こえてきた。
 恐るおそる振り向くと、そこには尻尾のみならず耳の毛まで逆立て、殺気に満ちたオーラを全身から漂わせたネコ耳少女が立っていた。
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   Ⅱ 発情3Pでいきなり初体験



     1 疼く情欲
 桜沢真由が、茂野動物病院で居候《いそうろう》をはじめて、早くも一週間が過ぎていた。
 最初こそいくつかの騒動はあったものの、ここ何日かは平穏無事に過ごせている。
 また、ネコ耳になってやむなく、というのはいささか不本意な形だったものの、通い妻状態から大介と一つ屋根の下での生活になったのは進展と言える気がしていた。とはいえ、キツネ耳少女になった宮ノ森静華も一緒なので、二人きりの甘い生活は夢のまた夢という感じだが。
 それに、休業中とはいえ病院での雑務は意外に多く、家事も含めると朝から晩までほぼ働きずくめである。なにしろ、クリスマスすら動物たちの世話に追われ、夕食後に三人でショートケーキを食べた以外、なんのイベントも用意できなかったほどだ。
 とにかく、動物にはクリスマスもなにも関係ないので、人間の都合で手を抜くことは許されない。
 それでも、ここ二、三日はようやく少し余裕が出てきた気がする。真由は、前から少しは仕事を手伝っていたので、さすがに一週間も経つとやるべきことをある程度は自分で判断できるようになる。また、静華もだいたいの仕事を覚えて大介にいちいち確認しなくなったため、そのぶん作業効率があがっていた。
 幼なじみの少年は、もうすぐ正月ということもあって、今は父親の見舞いがてら買い物に出かけている。
「大介と一緒に買い物に行きたかったけど、この耳と尻尾があったらねぇ」
 猫舎のネコたちの昼食を片づけながら、ナース服姿の真由は思わず深々とため息をついた。
 もちろん、帽子を深くかぶってロングコートを着れば、耳と尻尾を隠すことはできる。だが、ネコの本能なのか、そういう格好をしているとどうにも落ち着かず、思いきり耳と尻尾を動かしたい衝動に駆られてしまう。
 万が一にも、誰かにこの姿を見られてしまったら、どんな騒ぎになるのか考えるのも恐ろしい。
 少女はあらためて、「はぁ~」と大きなため息をついた。
 そのとき診察室のほうから、なにかをひっくりかえしたような派手な音と、「キャンッ」という静華の声が聞こえてきた。
「もう……また静華さんがやったの? もっと、なんでもできる人だと思っていたんだけどなぁ」
 一歳年上の上級生は、見た目も性格も真由とは正反対で、普段は非常におしとやかである。それだけに、落ち着いて物事をこなし、失敗などほとんどしないかと思っていたのだが、意外と抜けたところがあった。
(大介、静華さんのことをどう思ってるんだろう?)
 本人には決して聞けない疑問が、あらためて真由の脳裏をよぎった。
 完璧そうに見えて実はドジっ娘というのは、男の子から見て守ってあげたくなる存在な気がする。
 それに大介は、高等部に入学して静華と知り合ってから、よく彼女のことを話題に出している。真由は、表面的には平静を装って聞いていたものの、彼が他の女の子の話をすることに、心中は決して穏やかではなかった。
 一方の自分はというと、男勝りの性格で、幼なじみの少年といつもケンカばかりしている。
 もちろん、茂野家の家事全般を引き受けたりして、ポイントを稼いでいる自覚は充分にあった。しかし、本当はもっと仲よくしたい、自分の正直な気持ちを伝えたいと思いながらも、負けん気の強さが邪魔をしてどうしても素直になれない。
 また、大介にとって自分が身近になりすぎて、すでに異性として意識されていないのではないか、と不安になることもあった。
(静華さんは宮ノ森神社の巫女さんで、あたしとは家柄も上品さも違うし……)
 もちろん、静華のほうが後輩の少年のことを本心でどう思っているかは、よくわからない。だが、少なくとも悪い感情を持っていないのは確実だ。
 おしとやかな巫女でありながらドジっ娘、というキツネ耳少女は、恋のライバルとしてはかなりの強敵に思える。
 すると、ケージのなかのネコたちが「ミャー、ミャー」と鳴いた。ネコ属のよしみか、彼らはネコ耳少女のことを「まぁ、がんばれや」と励ましてくれたのである。
「……みんな、ありがとう。それに、今はミーシャも一緒にいてくれるんだし。あたし、がんばるぞ」
 と、真由は自分自身に気合いを入れ直す。
「それじゃあ、またあとでね。あたし、静華さんを手伝ってくるから」
 少女は、ネコたちに声をかけて猫舎を出ると、診察室に入った。
「静華さん、今日はなにをしたの?」
 だが、平静を装って声をかけたものの、診察室にはキツネ耳少女の姿が見えず、「はぁ、はぁ……」と苦しそうな息づかいだけが聞こえてくる。
 怪訝《けげん》に思いながら診察台の裏にまわった真由は、その場で立ちつくしてしまった。
 そこには、静華がグッタリした様子でへたりこんでいた。彼女の頬は紅潮し、呼吸も何百メートルも全力疾走をしてきた直後のように荒くなっている。
「ど、どうしたの、静華さん? 体調でも悪くなったの?」
 近づくこともできず、真由はオロオロしながらキツネ耳少女に声をかけた。
 しかし、ついさっきまで彼女に変わった様子は見られなかった。それが、突然どうしたというのだろうか?
 少女の声に気づいたらしく、静華が顔をあげた。しかし、その目は今にも泣きだしそうなくらいに潤んで、顔色や表情も相まって真由でもドキッとするような妖艶さを漂わせている。
「ま、真由さん……わたし、おかしいんですぅ。なんだか、急に身体が熱くなってえ……すごくうずいて……ほ、欲しいコン……いやぁ。違います、わたし、そんな……ああ、オチン×ンがぁ……キュゥ~ン」
「し、静華さん? なに言ってるの?」
 おしとやかなキツネ耳少女の口から「オチン×ン」という単語が出てきて、真由は驚きを隠せなかった。
 だが、静華はそんなことを気にしている様子もなく、さらに荒い息を吐く。
「ああ~……身体がムズムズしてぇ……もう、我慢できないコォォォン!」
 と叫ぶように言うなり、キツネ耳の少女がナース服の上から自分の胸をわしづかみにした。
「んっ……ああ……オッパイが気持ちいい……ふうぅぅん……あうぅ……」
 手を動かすなり、静華の表情がたちまちとろけて、口から熱い喘ぎ声がこぼれでる。
 さらに、少女は片手を股間に伸ばし、ナース服のスカートをたくしあげた。そして、クリーム色の下着の上から秘裂をこすりはじめる。
「ああんっ。ここ、感じますぅ! んんっ、すごい……あんっ、しびれるコン……はうぅん……」
「ちょ……い、いきなりなにやってんのよ!? どうしちゃったの、静華さん?」
 だが、一歳年上のキツネ耳少女は、真由の声などまったく意に介する様子もなく、もどかしげに前をはだけ、クリーム色のブラジャーに包まれたバストをあらわにした。そうしてブラジャーをたくしあげると、綺麗なお椀型の胸を力いっぱい揉みしだきだす。
 指がふくよかなふくらみに沈みこみ、形の整ったバストがいびつに変形する。
「ふあああっ、いいコォォォン! だめ、こんな……はああん、オッパイい、すごく気持ちいいコン! キャイィィン、は、恥ずかしいのに……くぅぅん、手がとまりませぇん!」
 支離滅裂《しりめつれつ》な言葉を発し、キツネ耳少女が普段からは想像もできないうっとりした表情を見せながら、次第に快感へと溺れていく。
(な、なんなの? いったい、どうなってるのよ?)
 診察室で自慰に耽《ふけ》る静華の様子は、どう考えても異常だった。まるで、避妊していないネコに盛りがついたような……。
 そこで、真由は思い当たる節があってポンと手を叩いた。
「……ひょっとして、キツネの発情期?」
 静華と真由のなかには、動物霊が入っている。そのため、動物の本能や習性が人体にも少なからず影響を与えていた。もしも、キツネの発情期がはじまったのだとすれば、彼女の異常な行動にも納得がいく。
(だけど、それじゃあどうしたら……)
 救急車を呼ぶわけにもいかないし、大介もこの場にいない。いや、たとえ彼がいたとしても、これはどうにもならないだろう。
 なす術《すべ》もなく呆然とキツネ耳少女の行為を見守っていると、不意に真由の身体の奥にポッと熱いものがともった。
(えっ? なに、これ?)
「キュイィィンッ、指がいいっ! でも、ああんっ、やっぱり……きゃふうんっ、あそこが、くううっ、しびれるコォォォン!」
 少女が戸惑いを感じている間にも、静華はショーツの奥に手を突っこんで、じかに秘部をまさぐっていた。その指が激しく動いているのが、下着越しにもはっきりわかる。
(すごい……静華さん、あんなに指を……)
 自慰に耽る一歳年上の少女の姿から、真由はいつしか目が離せなくなっていた。
 少女も自分を慰めた経験はあるが、もちろん他人のオナニーを見るのは初めてのことである。静華の生々しい指使いや妖艶な表情や吐息《といき》はあまりに淫靡《いんび》で、しかしとても大人びたものに思えてならなかった。
 室内に、淫らな匂いが漂っている気もしたが、それがなんともかぐわしいものに感じられる。
 狼狽《ろうはい》しているうちに、真由の腹のあたりに発生したロウソクの炎にも似た小さな熱の塊《かたまり》が、次第に全身に染み渡るようにひろがっていった。同時に、胸と股間がどうしようもなくうずきはじめる。
(ああ……大介のオチ×ポが欲しいニャ……はっ、あたし、なにを考えてるの? まさか、あたし……ミーシャまで発情しちゃった?)
 どうやら、真由のなかにいる飼いネコの霊まで、キツネ耳少女の発する性フェロモンに感化されてしまったらしい。ただし、ミーシャは生前、早い段階で避妊手術をしていたため、発情期とはずっと無縁だった。おそらく霊になって、本能を取り戻したのだろう。
「じょ、冗談……ああん、ちょっと我慢して……こんな、ふ、ふみゅう、恥ずかしいぞぉ……ダメッ、身体が熱いニャア……ふにゃああんっ!」
 不意に胸から心地よさが訪れ、少女は甘い声を出してしまった。視線をおろすと、無意識のうちに手がバストに触れている。
 指に勝手に力が入ると、なんとも言えない快感が全身を駆けめぐった。
「ダメ……こんにゃあ……ああ、ホントに手がとまらにゃ……ふみゃっ、気持ちいいニヤアァン!」
 真由は思わず悦びの声をあげて、その場にへたりこんだ。
 できれば、自室に戻ってから昂《たかぶ》りに思いきり流されたかったが、派手に燃えあがった性欲はそれすら許してくれない。
(欲しい。チン×ン……大介のオチ×ポがいい! 今すぐにオチ×ポ入れて、思いきり突いてほしいのぉ!)
 そんな思いに支配されると、四つん這いになった自分が大好きな少年に貫かれる様子が脳裏に浮かんだ。
 自慰をするときにしばしば妄想していた光景が、今はいちだんと鮮明なものとしてイメージできる。しかも、その姿を想像するだけで、さらに気持ちが昂ってきてバストからの快感も増す。
「はにゃああん……大介ぇ……好き……ああ、オッパイ揉んで……いいニャア……もっと、もっとぉ!」
 いつしか真由も快感に支配され、手の動きをとめようという気持ちをなくしていた。今、胸を揉んでいるのが、まるで思いを寄せる少年の手のような気すらしてくる。
「ふああっ! ま、真由さんも、ああんっ、我慢できなく……きゅうぅん、わたし、おかしくなっちゃうコォォン!」
 ネコ耳少女のオナニーを見て、静華のほうもさらに昂ってきたのか、指の動きを激しくする。
 それを見て、真由は己《おのれ》のなかに湧きあがる性本能の訴えに逆らえなくなった。いや、これはミーシャの本能なのだろうか?
「ふみゃあっ! もう、あたし我慢できにゃない! 静華しゃぁぁぁん!」
 と叫ぶなり、ネコ耳少女は静華に飛びかかっていた。
「えっ? ま、真由さん?」
 キツネ耳ナースの少女が、驚いて目を丸くする。だが、特に抵抗はしない。
「静華しゃん、あたしもエッチしたくて仕方にゃいの。だから、今は一緒にしようニヤン」
 真由は本能の赴くままにそう言うと、組み敷いた少女に唇を重ねていた。
(ああっ! あ、あたし、なにやってんのよ? ファーストキスは大介としようって思っていたのにぃ!……で、でも気持ちいいぃぃ)
 己《おのれ》の行動に戸惑いながらも、ネコ耳少女は唇からもたらされる感触の心地よさに酔いしれる。
(ふみゅう。そうよ。女の子同士のキスなら、カウントに入れることないもん)
 などと勝手なことを考えると、もっと大胆なことをしたくなってくる。
 真由は欲望に流されて、まったく抵抗の素振りを見せないキツネ耳少女の口のなかに、舌を滑りこませた。
「んむっ? んっ、んっ、んむうぅぅぅっ!」
 さすがに、静華が驚いたような表情を見せて、くぐもった声をあげる。
 それにかまわず、年上の少女の舌を絡め取る。
「んん~。んむ、んむ、んむ……んちゅ、んちゅ、んろろ~……」
 舌を動かすと、接点からなんとも言えない甘い快感がもたらされた。
「むむむ! んんん……んっ、んっ、んんんん……んむ、んむ……」
 ネコ耳少女の舌の動きに抗《あらが》っていた静華も、やはり心地よさを感じているらしく、たちまちとろけて抵抗をやめ、自らも舌を動かしはじめた。
(ああん。女の子同士のキスが、こんなに気持ちいいなんて……大介とキスしたら、もっと気持ちいいのかな?)
 そんなことを考えると、ナース服がジットリ湿るくらい、全身が熱くなって汗ばんでくる。
 真由は、静華とタイミングを合わせて舌を絡ませ、お互いの口内を貪《むさぼ》り合った。
「んっ、んっ……んむ、んむ……ぷはぁぁ……真由さぁん」
 やがて、少し苦しくなって唇を離すと、キツネ耳少女がとろけた瞳で真由を見つめてきた。
「ふはああ……静華しゃん、もっとしようニャ。あたしも、いっぱい気持ちよくにゃりたいニャア」
 欲望に逆らえず、少女は思わずそう訴えていた。
「じゃあ……ナース服を脱がしちゃうコン」
 と言って、すでに前をはだけていた静華が、下からネコ耳少女のナース服に手をかける。そうして、スルスルと前を開けてしまった。
 淡いブルーに白い模様の入った下着が露出したが、あまり恥ずかしく感じないのは、発情しているせいなのか、あるいは女同士という安心感からだろうか?
 キツネ耳少女が、真由のブラジャーをたくしあげて小振りな胸をあらわにした。
「真由さんのオッパイ、すごく可愛いコン」
「ふみゃあん。そんにゃこと言ったらイヤ……はにゃあああん!」
 いきなり両手でバストを揉まれて、真由はしびれるような快感におとがいを反らし、悲鳴のような声をあげていた。
 さらに静華が、二つのなだらかな乳房を撫でまわすように愛撫してくる。そのたびに、真由の頭のなかは真っ白になって、わずかに残っていた理性が次々に砕け散っていく。
「今度は、真由さんが……わたしも、もうおかしくなりそうだコン」
 求められるままに、真由はキツネ耳少女のふくよかなふくらみに両手を這わせた。
 手のひらに、柔らかくもしっかりした弾力のある感触がひろがる。
 途端に、静華が「キャイイン!」と心地よさそうな声をもらす。
「ふみゃあ。静華しゃんのオッパイ、おっきくて触り心地がよくて羨ましいニャア」
 真由は、ついそう口走っていた。
 なにしろ、少女の胸は無理に寄せてもかろうじて谷間ができる程度しかふくらんでいない。自分で触っていても、もう少し揉み応えがあればと思うこともある。そのため、しっかりふくらんでいる静華のバストを弄《いじ》っていると、嫉妬と羨望が入り交じった感情を抱いてしまう。
「きゅいぃぃん、そんなに……きゃうぅぅん、か、感じちゃうぅぅ!」
 甘い声をもらし、静華がなんとも艶やかな表情を見せる。
(ふみゅう、あたしももっと気持ちよくなりたい。ああん、オマ×コがうずいてきちゃうよぉ)
 股間に妙なムズムズ感が湧きあがってきて、触りたい衝動に駆られる。しかし、両手はキツネ耳少女のふくよかなバストをつかんでいて、離すのももったいない。
 もどかしくなって腰をつい動かすと、偶然にも静華の太腿に股間が当たった。
「あっ、ふみゃあん!」
 いきなり秘部から甘い刺激がもたらされて、真由は思わず甘い声をあげていた。太腿で秘部がこすれて、快感が発生したのである。
「はにゃああん。今の、にゃんだかよかったよぉ」
 指でなくとも快感を得られることがわかり、ネコ耳少女は静華の片方の太腿にまたがると、その付け根に自分の股間を本格的にこすりつけてみた。
「あっ、ああっ、ふみゃああ! いいニャア」
 真由が喘ぐのと同時に、キツネ耳少女も「はううぅん」と甘い声をもらす。
 なるほど、この体勢になると静華の秘部にもネコ耳少女の太腿の付け根が当たり、刺激を受けるらしい。
「静華しゃんも、気持ちよかったニャ?」
「は、はい。太腿があそこにこすれて、ビリビリってきたコン」
 と言いながら、下にいる少女が真由の花園をこするように足を動かしはじめる。
「あっ、ふにゃあああっ! い、いいっ! もっと、もっとよくにゃりたい!」
 ネコ耳少女は、さらなる快感を求めて、自分と静華の股間をこするように腰を動かした。
「あああんっ! キャヒィィン! それ、いいコォォン!」
 静華が、なんとも甘い喘ぎ声をもらす。
「ひゃあんっ、あたしもぉ! あんっ、あんっ、これぇ、にゃんかいいぃぃ!」
 真由は、さらなる快楽を求めてキツネ耳少女に身体を密着させた。そうして身体を揺すると、股間だけでなく尖《とが》った乳首もこすれて、新たな快感が発生する。
「ふみゅぅぅん! いいニャ! これ、すごくいいニャァァ!」
「くうぅぅんっ! あっ、あっ、わたしも、キュウゥゥン! 感じるぅぅぅ!」
 互いに甘い声をあげているうちに、いつしか真由は一歳年上の少女との行為に没頭していた。
 視線が絡み合うと、どちらからともなく唇を近づけ、再び情熱的なキスを交わす。もう、ファーストキスがどうこうなどと考える気もない。今はただ、よりいっそう気持ちよくなりたい、という本能だけがネコ耳少女の心を支配している。
「んっ、んっ……くちゅ、くちゅ……」
 静華も同じなのだろう、今度は彼女のほうも最初から積極的に舌を動かしてきた。
 おかげで、口内から先ほど以上の快感がもたらされる。
 真由は夢中になって、キツネ耳少女と舌を貪《むさぼ》り合っていた。
(気持ちいい! ああんっ、すごく感じて……あたし、変になっちゃう! いいの、変になりたい! 思いきりイキたいよぉ!)
 口と胸と股間からの快感が合わさって気分が高まり、エクスタシーへの欲求がこみあげてくる。
「静華しゃん! あたし、もうイキそうにゃあ!」
 唇を離して訴えると、キツネ耳少女のほうも、すっかり上気した表情で真由を見つめた。
「わたしも……くぅぅんっ、もう限界コォォン!」
 すでに、互いの太腿には愛液がペットリとこびりつき、股間を動かすたびにヌチュヌチュといやらしい音をたてている。
 その音を意識した瞬間、真由のなかに発生していた熱い塊《かたまり》が一気に弾けた。
「あっ、あっ、ああああっ、ふみゃああああぁぁぁぁぁん!!」
 頭のなかがハレーションを起こして真っ白になり、心地よさのなかで一瞬、思考が停止する。
「ふああっ、もう、もう……きゃいいぃぃぃぃぃぃぃぃん!!」
 真由が絶頂を迎えるのと同時に、キツネ耳少女もおとがいを反らして甲高《かんだか》い声をあげた。どうやら、彼女もエクスタシーに達したらしい。
(す、すごいぃぃ! まるで空を飛んでいるみたい……今まで、こんなに感じたことないよぉ!)
 今まで真由が自慰で味わった絶頂は、もっと小さな爆発のようなものだった。身体が宙に浮くような感覚は、まったく初めての経験である。
 しかし、その幸せな浮遊感は長くはつづかず、間もなく虚脱感が押し寄せてきて、少女の全身を包みこんだ。
「ふにゃああ……はぁ、はぁ、はぁ……」
[#挿絵(img/nyankon_067.jpg)入る]
 静華の上に倒れこんだ少女は、荒い息をついてグッタリした。
「ああん、イッちゃえば収まると思ったのに……まだ、あそこがうずくニャア」
 真由の身体のうずきは、これまでにない絶頂を味わっても、収まるどころかますます激しくなっていた。すでに、男性器への欲求は強迫観念にも近いものになり、たとえオナニーに耽《ふけ》っても、もはや満足できそうにない。もちろん、このままレズ行為をつづけても同様だ。
「ふああ……わたしも、ちっとも収まらなくて……ああ、欲しいコン。オチン×ンが欲しくて、もうおかしくなっちゃいそうですぅ!」
 静華も、熱い吐息《といき》をもらしながら訴える。キツネ耳少女も、真由と同じような状態らしい。どうやら、発情期という種族維持のための本能による欲求は、オナニーやレズ行為では収まらないようだ。
(どうしたら……もう、なんでもいい。ただの棒でも、シマタロウたちのオチ×ポでもいいから、なにかをオマ×コに挿《い》れたいよぉ。でないと、あたしおかしくなっちゃう!)
 まともな思考力をなくし、情欲の赴くまま真由が身体を起こした、まさにそのとき。
「な……なにやってんだよ、二人とも?」
 と、大介の声が聞こえてきた。
 見ると、診察室の出入り口のところで、セーターにジーンズ姿の少年が呆然とした様子で突っ立っている。
「ふみゃあ……ああっ、大介だぁ!」
 大介の姿を見た瞬間、真由のなかで渦巻いていたものがたちまち弾けた。
 自分たちが、どんな格好をしているのか、どんな場面を目撃されたのかもまったく気にならない。今、目に入っているのは少年の姿、そして彼の下半身とズボンに隠された股間のモノだけだ。
「くうぅん……大介さん、やっと帰ってきて嬉しいコン!」
 静華も同じ気分なのだろう、飼い主の帰りを待ちわびていた子犬のように嬉しそうな声をあげ、大介のことを発情しきった目で見つめていた。


     2 ロストバージン~真由
 正月用の買い物を一通り終えて帰宅した大介は、荷物を置くと動物の世話をしている少女たちを手伝おうと、一階に通じる階段を降りていった。
 だが、ちょうど病院の廊下に出たとき、二人の少女のなんとも妖艶な絶叫が聞こえてきた。
「なんだぁ? 二人で、なにやってんだよ?」
 と、首をかしげながら少年は診察室に向かう。
 そうして、部屋に入ろうとした大介が目にしたのは、折り重なるようにして床に倒れて荒い息をついている真由と静華の姿だった。二人のナース服の前ははだけられていて、ブラジャーもたくしあげられているため、乳房が丸見えである。
 室内には彼女たちの淫らな匂いが充満し、汗ばんだ肉体の体温で室温自体が高くなっているようにも感じられる。
 その姿と匂い、そして少女たちの股間や太腿で濡れ光るものを見れば、ここでなにが行なわれていたか、童貞少年でもたやすく想像がつく。
 だが、どうして真由と静華がレズ行為に及んでいたのか、まるで見当がつかない。
「な……なにやってんだよ、二人とも?」
 幼なじみのネコ耳少女が身体を起こすのを見たとき、大介はいまだに混乱が抜けきらないまま口を開いていた。
 すると、ようやく少年の存在に気づいた二人の耳っ娘が、ほぼ同時に濡れた瞳を向けた。
「ふみゃあ……ああっ、大介だぁ!」
「くうぅん……大介さん、やっと帰ってきて嬉しいコン!」
 大好物を見つけた子供のような表情の少女たちに、大介は思わずたじろいでしまう。
(な、なんだ? 二人とも、いったいどうしちゃったんだ?)
 真由も静華も顔が上気していて、瞳も潤んで熱に浮かされているかのようだ。呼吸の荒さなどから見ても、かなりの興奮状態にあるのは間違いない。
「大介ぇ! オチ×ポ欲しいニャ!」
「わたしも、もう我慢できないコン!」
 と言うなり、二人が獲物に飛びかかるように大介にしがみついてきた。
「うわっ! ちょ、ちょっと……」
 あまりの勢いに、少年は抵抗する間もなくその場に押し倒されてしまう。
 そうして、ナース服の前をはだけたままの耳っ娘たちは、競うように大介のズボンに手をかけ、ベルトをはずしはじめた。
「なっ……やめっ! ふ、二人とも、いったいどうしちゃったんだよ?」
 普段からは考えられない少女たちの言動に、大介は戸惑いを隠せない。
「ああん。わたし、急にオチン×ンが欲しくなって……身体がうずいて、自分ではどうしようもないコン」
 と答えながら、静華がズボンのファスナーを開ける。
「あたしも、我慢できにゃくにゃっちゃったニャ。こら、大介。暴れたらダメだぞぉ」
 そう言いながら、真由がズボンとパンツに手をかけ、少年の下半身を強引にあらわにしてしまった。さすがに、二人がかりで襲われては抗《あらが》いようがない。
「わぁ。これが、男の人のオチン×ン……昔、弟のを見たことはありますけど、なんだか可愛いコン」
 まだ勃起に至っていない一物をマジマジと見つめて、静華が感想をもらす。
「ふふっ、ホント。あたしは、小学校の低学年まで大介とお風呂に入っていたけど、にゃんだかあの頃とあんまり変わって……うわっ、おっきくにゃってきたぁ」
 ネコ耳少女が、言葉を切って驚きの声をあげる。
 確かに、大介の分身は無意識に海綿体の体積を増し、勃起をはじめていた。半裸の少女たちの視線のせいで、自然に下半身に血液が集中してしまったらしい。生の女性のこんな艶姿《あですがた》を見せつけられては、健全な青少年が興奮を抑えられないのも当然だろう。
「すごい……大介さんのオチン×ン、見るみる大きくなって……」
 まだ半勃《はんだ》ち状態の一物を見ながら、キツネ耳少女が感嘆の声をあげる。
「へぇ、こんにゃふうににゃるんだニャア。にゃんだか、ちょっと面白いぞぉ」
 真由も、日を輝かせながら少年の分身を見つめる。
 二人とも、おそらく成長した男子のモノを目にしたのは初めてだろうが、恥ずかしがるどころか興味津々といった様子で、ペニスに熱い視線を注いでいる。
(いったい、どうしちゃったんだ? 二人とも、まるで発情した動物……あっ、そうか。二人には動物霊が憑《つ》いているから、発情期が……)
 大介も、ようやく少女たちの異変の原因に思い当たった。
 跡を継ぐ気がないとはいえ、一応は動物病院の息子だし手伝いもしているので、少年も動物の生態についてそこそこの知識は持ち合わせている。
(で、でも、それじゃあどうすれば……)
 動物ならともかく、人間が発情した場合の対処法など童貞少年にわかるはずもない。
 大介がパニックを起こしている間にも、真由と静華は一物に顔を近づけていた。
「ああ、大介のオチ×ポ。好き、好き。これ、欲しいニャン」
「くぅぅん、わたしもオチン×ンが大好きコン」
 動物の本能が前面に出ているせいだろう、二人の少女は普段の言動からは考えられないセリフを、平然と口走った。ペニスを見つめるその目は、まるで高級な宝石でも眺めているかのようにうっとりと潤んでいる。
「大介え、オチ×ポをにゃめてあげるニャン」
「わたしも、してあげるコン。まずは、大介さんが気持ちよくなってくださいねぇ」
 と言うなり二人が舌を出し、寝そべった少年の分身に競うように顔を近づけてくる。
「ちょっ……や、やめ……はうっ」
 半勃《はんだ》ち状態の一物に少女たちの舌が触れた瞬間、大介は背筋を駆けあがった快感に思わず呻き声をもらしていた。
「んふっ。大介、にゃんだか可愛いニャ。ペロ、ペロ……」
「レロ、レロ……わたしたちの舌、気持ちよかったコン?」
 美少女たちが、シャフトを舐めながら代わるがわる声をかけてくる。
「ふ、二人とも、なにしてるかわかって……うあっ、だ、だから……」
 大介は、なんとか抗議の声をあげようとした。だが、分身から送りこまれてくる鮮烈な快感信号の前に、言葉がつづかない。
「ンロ、ンロ……もう。言われにゃくても、わかってるニャン。あたしだって、ホントは恥ずかしいんだぞぉ」
「わたしも、恥ずかしい……だけど、身体がうずいて我慢できないんですぅ。ああ、オチン×ンがますます大きくなって……とっても、すごいコン」
 静華の指摘通り、童貞少年のペニスは初めてのフェラチオ、しかもダブルフェラという強烈なインパクトを受けて、見るみる最大レベルまで勃起していた。
「ふみゃあ。オチ×ポって、こんにゃにおっきくにゃるんだ。すごい……早く欲しいニヤ」
 真由が舌なめずりをせんばかりの表情で、少年の分身を眺める。
「ああ、弟が小さい頃に見たオチン×ンと全然違って……すごくたくましくて、こんなに立派な……なんだか、見ているだけであそこがうずいてきちゃうコン」
 と、静華もとろけた視線を一物に注ぐ。
 二人とも、まるで恥ずかしがる様子を見せなかった。むしろ、美少女たちに下半身を見られている大介のほうが、穴があったら入りたい気分に苛《さいな》まれる。
 少年が、いたたまれなくなってペニスを手で隠そうとすると、真由と静華がそうはさせじというように手を床に押さえつけながら、再び一物に顔を近づけた。
「ふみゅう、もっとしてあげる。大介には、いっぱい感じてほしいんだニャ。レロ、レロ……」
「そうです。わたしだって、大介さんにもっと気持ちよくなってほしいコン。ペロ、ペロ……」
 真由と静華が、一物の両脇からあらためて舌を這わせてきた。
「はふ、はふ……レロ、レロ……ちゅっ……」
「んろ、んろ……んふぅ、ペロ、ペロ……」
 少女たちは、それぞれのリズムでペニスを舐めまわす。
「うはああっ! そんっ……あううっ……」
 一本の竿を異なるテンポで舐められ、大介はまともな言葉も発することができないほどの快感に体を震わせた。
 二人の少女が放つフェロモンに感化されたのか、あるいはもたらされる快感の強さのせいか、いつしか抵抗を忘れて心地よさに酔いしれてしまう。それに、尻尾を嬉しそうに振りながらペニスを舐める美少女たちの姿を見ているだけで、興奮を抑えられない。
「レロ、レロ……あっ、オチ×ポの先からにゃにか出てきたあ。あたしが、にゃめてあげるニャ。ペロッ」
 と、真由が舌先でカウパー氏腺液を舐め取る。
 もっとも敏感なところを刺激され、大介は思わず「うはっ」と声をもらし、おとがいを反らす。
「ふみゃ~ん。にゃんか変にゃ味だけど、これだけでもオマ×コがうずくニャン」
 ネコ耳少女の言葉に、竿の下を遠慮がちに舐めていた静華の耳が、ピクンと動いた。
「くう~ん。わたしにも、舐めさせてほしいコン。チロ、チロ……」
 真由を押しのけるようにして、キツネ耳少女も先走り汁を舐めはじめた。
 そのやや遠慮がちな舌使いが、大介に射精しそうなほどの快楽をもたらす。
「静華しゃん、ズルイ! 大介のオチ×ポは、あたしだけのものにゃの! ペロ、ペロ……」
[#挿絵(img/nyankon_077.jpg)入る]
 と言って、今度は真由が強引に亀頭へと舌を這わせる。
「そんなの、認めません! わたしだって、大介さんのオチン×ンが欲しいコン! レロ、レロ……」
 キツネ耳少女も、対抗して鈴口を舐めまわす。
 二人は頬や鼻先をくっつけ、競うようにしながらペニスの先端を舐めつづけた。
「うっ、くはあぁっ。そ、そんなに先っぽばっかり舐められたら、我慢できなくなっちゃうよ!」
 こみあげてくるモノを感じて大介が訴えると、行為に没頭していた二人の少女の頭にある耳が敏感に反応を示した。
「んはっ。セーエキ、出るの? 大介のセーエキ、もうすぐ出るニャン?」
「精液……ふああん、見たいコン。大介さんのザーメン、見てみたいですぅ!」
 どうやら、欲情しきった真由と静華に、少年の訴えは逆効果だったらしい。
 二人は身体の向きを反転させて、斜めにそそり勃《た》ったペニスの先端から向かい合う格好になった。
 大介の両脇に、ナース服の前をはだけた半裸の女体が並ぶ。
 まだ未成熟さのある真由と、着やせして意外とグラマラスな体型の静華。そんな二人の艶やかな姿を見ているだけで、興奮が見るみる頂点に向かって駆けあがっていく。
「大介ぇ。早くセーエキ出してニャア。ペロ、ペロ……」
「わたしも、ザーメンが出るところを見てみたいコン。ンロ、ンロ……」
 耳っ娘たちが、頬や鼻をぶつけ合うようにしながら、亀頭を集中的に舐めまわす。
 二枚の舌で、同時に敏感な先端部を舐められて、少年の我慢ももはや限界だった。
 ついに大介は、「くはああっ!」と声をあげると、二人の美少女の顔面をめがけてスペルマを放った。
「ふみゃああんっ、出たぁ! セーエキ、いっぱい出たニャア!」
「きゅふううんっ。熱いコン……すごく、すごく熱いですぅ」
 精液のシャワーを浴びながら、真由と静華が口々に感想をもらす。だが、いやがる素振りはまったく見せていない。
 初フェラチオの興奮もあるのか、大介は自分でも信じられないくらい大量の白濁液を放って、少女たちの顔を汚していた。
 そうして、ようやく精の放出が収まると、二人がそれぞれペタンと座りこんで顔をぬぐった。
「すごぉい。大介のセーエキ、ベタベタして変にゃ匂いがするぅ。でも、にゃんだか素敵だニャア」
 幼なじみのネコ耳少女が、少し顔をしかめながらも甘い声をあげる。
「こんなにたくさん……ああ、ペロ……んっ、ちょっと変な味……けれど、あそこがすごくうずいてくるコン」
 驚いたことに、静華は精液を舐めて、なんともとろけた表情を見せた。
「もう。あたしだって、負けにゃいんだから。ペロペロ……んんっ、ホントに変にゃ味ぃ。でも、大介のだから平気ニャン」
 対抗意識を燃やした真由が、顔についた精液をぬぐって舐めはじめる。
「んっ。レロ、レロ……わ、わたしだって、大介さんのザーメンなら全部飲んでさしあげますっ。ペロ、ペロ……」
 キツネ耳少女も、さらに精液を手でぬぐっては口に運んでいく。
 二人の少女は、競うように自分の顔についた精液をぬぐって喉の奥へと流しこんだ。
 大介は射精の余韻に浸りながら、彼女たちの様子を呆然と眺めていた。
(なんだか、夢でも見ているみたいだな……)
 ダブルフェラでも信じられなかったのに、少女たちがまるでAV女優のようにスペルマを飲んでいる。その様子が、普段の彼女たちとギャップがありすぎて、現実感が乏しすぎた。これなら、実はまだベッドのなかにいて淫夢を見ている、と言われたほうが納得できそうな気がする。
 そんなことを考えているうちに、美少女たちは顔についた白濁液をほぼぬぐい終えていた。
「ふみゃあぁ……はぁ、はぁ……セーエキ、いっぱい飲んじゃったぁ」
「くうぅぅん……ふぅ、ふぅ……わたしもぉ、とってもいっぱいコン」
 真由と静華が、口々に感想めいた吐息《といき》混じりの声をもらし、あらためて少年のことを潤んだ目で見つめる。
「ふはああ……身体が熱い……もう、我慢できにゃいニャ! 大介、して! 早く、あたしとエッチしてぇ!」
「くぅぅんっ、わ、わたしを先に……大介さん、お願いです! わたしに、大介さんのペニスを入れてコン!」
 少女たちは、競うように四つん這いになって少年にヒップを向けると、妖しく腰を揺らしながらおねだりをはじめた。尻尾が左右に揺れて、まるで手招きをしているようにも見える。
「ふ、二人とも、本当にどうしちゃったんだよ?」
 あまりに淫らな様子に、大介は思わず聞いていた。
「ふみゃあん、セーエキをにゃめてたら、ますます身体がうずいちゃったんだニャア!」
「はああん、そ、そうなんですぅ。大介さんのオチン×ンが欲しくて、もう頭がおかしくなっちゃうコン!」
 切羽《せっぱ》つまった声で、二人が口々に訴えてくる。
 どうやら精液の味が、発情した少女たちの欲望の火に油を注いだらしい。
 実際、ショーツを透けさせたヴァギナからは新たな蜜がとめどなく溢れていた。一部は床にポタポタと落ち、一部は太腿に淫らな筋を作っている。
 それに、二人が放っている性フェロモンの影響なのか、あるいは彼女たちの淫らな格好を目の当たりにしているせいなのか、大介自身も射精直後にもかかわらず、いまだに昂《たかぶ》りが収まっていなかった。しかも、今は少女たちのほうから誘ってきているのだから、正常な性欲を持つ青少年としては拒めるはずもない。
(だ、だけど、どっちからしよう? どっちを先にしても、あとになったほうから恨まれそうな気がするぞ)
 ましてや、真由も静華もまったくタイプの違う美少女だし、どちらにも甲乙《こうおつ》つけがたい魅力を感じている。そのため、大介には優先順位などつけられない。
「ああっ、もうじれったいニャ!」
 とうとう我慢の限界に達したのか、いきなり真由がパンティーを脱ぎ捨てた。そして、「えいっ」と少年の上にまたがってくる。
 さらにネコ耳少女は、大介が驚きの声をあげる間もなくペニスをつかむと、自らの秘部と位置を合わせた。
 キツネ耳少女のほうは、ライバルの突然の行動に言葉を失っている。
「んっ……んああああっ! 入って……」
 腰を沈めはじめた少女が、一瞬、顔をゆがめて動きをとめた。
 ぬめった秘肉に包まれた先端部に、なにやら抵抗を感じる。おそらく、これが処女の証だろう。
「くっ、痛っ……ふみゃああぁぁぁんっ!」
 真由が歯を食いしばってグッと腰をおろし、甲高《かんだか》い声をあげながらおとがいを大きく反らした。
 同時に、なにかを引き裂くような感覚があり、竿全体が熱い膣肉に呑みこまれていく。
「うっ……み、みゅうううう……」
 苦しげな声をもらしながらも、ネコ耳少女はなお腰をおろしつづけた。
 初めて男性器を受け入れた膣内は、さすがにかなりきつく、ペニスの侵入を拒むような膣肉の抵抗感がある。だが、そのぶん先端からシャフトまで強烈に刺激されて、大介は思わず「くうっ」と声をもらしてしまう。
 そうして、とうとう真由は完全に少年の分身を呑みこんで、腰をおろしきった。
「はぁ~……はぁ、はぁ……入ったニャア……オチ×ポ、全部ぅ……くうっ、あ、あたしのにゃかぁ……」
 少し苦しそうにしながら、ネコ耳少女が吐息《といき》のような声をもらす。
 大介のほうはというと、手とはまったく異質の感触にペニスを包まれた快感で、もはや言葉もない。
「くぅぅん。真由さん、ズルイですぅ」
 静華がなんとも悔しそうに言って、頬を小さくふくらませた。
「ふみゅうぅっ。は、早い者勝ちだニャ……んんっ、痛いニャアァ」
 と、不意に真由が顔をゆがめた。なるほど、よく見ると破瓜《はか》の赤い印が結合部から出ている。
(真由のヤツ、初めてなのに自分から……)
 いくら動物の本能が前面に出て正常な思考力を失っているとはいえ、あまりにも大胆な行動には、今さらながら驚きを禁じ得ない。
「んくっ……だ、大介ぇ。あたしが、気持ちよく……んにゅ、してあげるぅ……」
 そう言って、ネコ耳少女が腰を上下に小さく動かしはじめた。
「んああっ、当たるぅ……あうっ、お、奥にぃ……コツコツって、んくううっ……」
 快楽と苦痛が交互に襲ってきているのだろう、真由は心地よさそうな顔を見せたかと思うと、すぐに苦しそうな表情を見せた。また、腰の動きもたどたどしく、恐るおそるといった様子が手に取るようにわかる。
 ついに少女は、大介の腹に手をついて動きをとめてしまった。
「ふぅ、ふぅ……ふみゃあ、痛くてぇ……あんまり動けにゃいよぉ……」
 さすがに、発情中の本能の求めに対して、破瓜したばかりの肉体が追いついていないらしい。
「くぅぅん……欲しいコン……んんっ、わたしもぉお……ああっ、で、でも……んんっ、ふぁああ……」
 不意に、傍《かたわ》らから切なそうな喘ぎ声が聞こえてきた。そちらに目をやると、やるせなさそうな顔をした静華が下着の奥に手を突っこんで、己《おのれ》の股間をまさぐっていた。おそらく、大介と真由の行為を見ているうちに、身体のうずきを我慢できなくなったのだろう。
 今にも泣きだしそうな顔で、自慰に耽《ふけ》るキツネ耳少女を見ていたら、さすがに放置しておくのが可哀相になってくる。
(仕方がない。一緒にするしかないか)
 と思ったものの、分身は一本しかない。そうかといって、今の真由をどかすのは至難の業《わざ》だろう。だとすれば、大介にできることは限られてくる。
「静華先輩、俺の上においでよ。口でオマ×コを舐めてあげるから」
 少年が声をかけると、静華がパッと顔を輝かせた。
「ああっ、それでもいいコン! 真由さんが終わるまで、わたしのあそこを慰めてくださぁい!」
 一歳年上のキツネ耳少女はそう言って、しっとり濡れたパンティーを脱ぎ捨てた。
 そして、淡い恥毛に覆われた秘部を見せつけるようにまたがると、少年の口にヴァギナを押しつけてくる。
 鼻腔に女性の匂いがひろがり、陰毛と恥丘、それにぬめった蜜の感触が唇に感じられる。
(真由もそうだけど、あの静華さんがこんなことをするなんて……)
 発情期の犬やネコの様子はさんざん見ていたが、人間に発現するとこれほどのことになるとは。普段の奥ゆかしい彼女の態度を知っていると、あまりのギャップに目を疑いたくなる。
 静華は、もう我慢の限界だったのか、すぐに自分で両胸を揉みはじめた。
「ふああんっ! オッパイ……か、感じるコォォン! ああっ、早く、早くあそこを舐めてくださぁい!」
 キツネ耳少女が、尻尾をパタパタ振りながら切羽《せっぱ》つまった声で求めてくる。
 大介はそれに応じて、秘裂へと舌を這わせた。
「キャイィィン! いいっ、舌がぁ、いいのぉぉ!」
 静華が、舌の動きに合わせて甲高《かんだか》い声をもらす。その手に力がこもったのが、乳房の変形具合でよくわかる。
「んああっ、あたしもぉ! んっ、んっ、こう……にゃら……ああん」
 対抗心を燃やしたのか、真由が再び腰を揺すりはじめた。ただし、今度は痛みがある上下動ではなく、横の回転運動が中心になっている。
「あんっ、んんっ、これにゃら、痛くにゃ……ふみゃああんっ! い、今、すごく感じたニャア!」
 と、ネコ耳少女が驚きながらも、なんとも甘い声をもらす。どうやら、横の動きは上下動より破瓜《はか》の部分がこすれないため、しっかりと快感を得られたようだ。
「あっ、はにゃあん……いいニャ……ああっ、これぇ、気持ちいいニャア」
 痛みの少ない方法を見つけた真由は、たちまち快楽に溺れ、夢中になって腰を動かしつづける。
(ううっ、すご……チ×ポが気持ちよすぎる!)
 大介のほうも、思わず呻き声をあげそうになっていた。少女の腰の動きに合わせてきつい膣肉が蠢《うごめ》き、分身に鮮烈な刺激がたてつづけに送りこまれてくる。その心地よさは、オナニーなど比較にならない。
 ペニスからの快感と口で感じる女性器の感触に、少年は頭の芯が次第にしびれてくるのを感じていた。同時に、もっとこの快感を味わっていたい、二人をもっと感じさせたい、という気持ちも湧きあがってくる。これも、少女たちが放つフェロモンの影響だろうか?
 大介は静華の太腿をつかむと、本格的に秘裂へと舌を這わせた。
「きゃうううぅぅんっ! 大介さんの舌ぁぁぁ! くうぅぅん、感じるコォォン!」
 ロングヘアの少女が、己《おのれ》の胸を揉みながら大きくおとがいを反らし、なんとも心地よさそうな声をあげる。
「ふみゃあ! 大介のオチ×ポ、あたしのにゃかでビクンって……ますます硬く……すごいニャアァァァ!」
 と嬌声《きょうせい》をあげながら、真由の腰の動きもいちだんと大きなものになった。もう痛みも感じていないのか、その声はひたすら甘いものになっている。
 ますます昂《たかぶ》った大介は、指で静華の淫裂を割り開き、シェル・ピンクの秘肉に舌を這わせた。
「くううぅぅんっ! だ、大介さん……それ、いいっ! ああんっ、もっとぉぉ!」
[#挿絵(img/nyankon_089.jpg)入る]
 キツネ耳少女の秘部の奥からは、舐めきれないほどの量の蜜が溢れて少年の口のまわりをしとどに濡らす。そして、その芳香が理性をさらにしびれさせていく。
 また、初めてペニスで味わっている膣肉のきつくもぬめった感触が、なんとも言えない心地よさを生みだしていた。先ほどダブルフェラで出していなかったら、この快楽に耐えきれずに、とっくに暴発していただろう。
「あんっ、あんっ、大介ぇ! オチ×ポいい! すごいニャ! ふみゃああん! 感じるぅぅぅ!」
「キャウゥゥン! あそこ、いいコォォン! ひゃうっ、キュゥゥン! 大介さん、気持ちいいのぉ!」
 二人の少女も、それぞれに甲高《かんだか》い喘ぎ声をもらし、快感に溺れていた。
(うはあ! チ×ポがよすぎて……も、もうダメだ……)
 初めての甘美な快楽の前に、健全な青少年の性の昂《たかぶ》りは早くも二度目の限界を迎えようとしていた。
「ああっ、大介のオチ×ポ、ビクビクって……出そうニャ? んんっ、セーエキ出そうにゃの? ああんっ、あたしももう……イッちゃいそうニャア!」
 少年の分身の変化に気づいたらしく、真由が切羽《せっぱ》つまった声をあげる。
「あぁぁんっ! わたしもぉ! わたしも、もう……きゃいぃぃぃぃん!」
 大介の舌がプックリと存在感を増した肉豆に触れると、静華が胸を揉みながら甲高《かんだか》く鳴いた。
(ああ、おそらくここがクリトリスなんだな)
 と、漠然と思いながら、そこを集中的に舐めまわす。
「キャヒイイィィン! そんっ……しびれちゃいますぅぅぅ!」
 静華が、切羽《せっぱ》つまった声をもらした。どうやら、そろそろ限界らしい。
「あっ、あああっ、大介の腰ぃ……はにゃああっ! いいニャ! 奥に当たっていいニャアァァァ!」
 どうも、大介は舌を動かしながら無意識に腰も動かしていたらしく、ネコ耳少女がビクビクと身体を震わせながら大声を出した。そうして、彼女は自らも乗馬をしているように腰を上下に揺すりだす。
「あ、当たるぅぅ! 大介のオチ×ポ、はみゃあっ、子宮に当たるニャアァァ! いいっ、いいんだニャはぁぁぁぁぁん!」
 幼なじみの動きに合わせて、膣肉がリズミカルに蠢《うごめ》いてペニスを締めつけてくる。
 ただでさえ上下動でしごかれているところに収縮運動を加えられ、パンパンにふくらんでいた我慢の風船に、限界の針が突き刺さった。
 大介は「くっ」と声をもらすなり、ネコ耳少女のなかに精を解き放っていた。
「ふみゃっ? 出てるぅ! 大介のセーエキ、子宮に当たって……あっ、あたし、はにゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
 と、真由が大きくのけ反って身体を強《こわ》ばらせる。
「あああっ、わたしもっ、もう……くはあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 ほぼ同時に静華も絶頂の声をあげ、大介の口に愛液の間歇泉《かんけつせん》が降りかかる。
 まるで、精をすべて搾り取ろうとしているような真由の膣の感触に、少年の射精はなかなか収まる気配を見せなかった。なにしろ、初めての女性器の感触、おまけに口でもう一人の少女の秘部を味わいながらの膣内射精だ。興奮のボルテージが、なかなかさがらないのも無理はない。
「あ……ああああ……ふみぃぃぃ、いっぱいぃぃぃ……大介のセーエキで、お腹いっぱいににゃっちゃったぁぁぁ……」
 ようやく射精が終わると、真由が間延びした満足げな声をあげながら虚脱した。少女の全身から力が抜けたのは、膣の感触で大介にも感じられる。
「はぁ、はぁ……くぅぅん、大介さぁぁぁん」
 顔の上からどいた静華が、なお興奮冷めやらぬ表情で少年のことを見つめてきた。どうやら、こちらは絶頂に達してもまだ満足してないらしい。
(やっぱり動物の発情と同じだから、最後までしなきゃダメなのかな?)
 たった今、幼なじみと初体験を経験したばかりだというのに、さらに憧れの先輩とまでセックスをすることには、さすがに抵抗を覚える。
 しかし、動物の本能に支配された静華の昂《たかぶ》りを収める方法は、おそらく他にはないはずだ。
 もしも大介が拒んだら、今の彼女の状態では犬にでも尻を振りかねない。それどころか、万が一にも外に飛びだして手近な男を誘うようなことがあったら……。
(静華先輩に、絶対そんなことさせてたまるか! だったら、俺が先輩を鎮めてやるしかないじゃん!)
 そう考えた大介は、つながったまま荒い息をついている真由を、上からどかすことにした。


     3 ロストバージン~静華
 宮ノ森静華は、クンニリングスをされてもなお身体の火照《ほて》りが収まらないことに戸惑いながら、後輩の少年が真由から一物を抜くのを見つめていた。
(わたし、なんてことを……ああっ、恥ずかしすぎて死んでしまいたい。でも、大介さんのオチン×ンが欲しくて、身体がうずいて抑えられないの!)
 彼と幼なじみだというネコ耳少女の股間から、なお硬度を失っていない一物が姿を現わす。竿にネットリこびりついた蜜とスペルマのミックス液が、蛍光灯の明かりを反射して、濡れ光っている。その一部に、淡い赤色になったものが混じっているのが見えた。
 それを目にすると、あらためて先を越されたことへの悔しさがこみあげてきた。だが、同時にますます子宮のあたりがキュンと締まり、身体の火照《ほて》りが増す。
(ダメぇ。もう我慢できないの! わたしも、大介さんに早くしてもらいたい!)
 静華は再び自ら四つん這いになり、少年に尻を向けた。
「ああ……大介さん。わたしにもぉ……早く、わたしにもオチン×ンを挿《い》れてコン」
 と、尻尾を振りながら腰を左右に動かす。
(こんなことを自分から言うなんて、すごくはしたない……でも、わたしのなかのコンちゃんが、大介さんのオチン×ンを求めてしまうのぉ!)
 静華は伝統ある神社に生まれ、優しくも厳格な両親に育てられてきた。そんな自分が自ら男性を誘うことなど、いつもなら考えられないことである。
 もちろん、年頃ということもあって、コンに取り憑《つ》かれる前にも好奇心で己《おのれ》を慰めてみたことはあった。だが、「いけないことをしている」という罪悪感から、どうしても最後まではつづけられなかった。
 ところが、発情したら真由の前でオナニーをしたうえ、レズ行為にまで耽《ふけ》って初めての絶頂を味わってしまったのである。しかも、いきなりフェラチオをして、次に性器を舐めてもらい、さらにはこうして彼を誘って腰を振っている。いくらキツネの発情期に影響されてのこととはいえ、我《われ》ながらまったくもって信じられない。
 しかし、今はそんな羞恥心よりも、少年にペニスを挿れてもらいたいという欲求のほうがはるかに強い。
(それに、大介さんと一つになるのは、わたしがずっと望んできたこと……)
 大介とは、学校で飼われている動物の世話を通して、今年の四月に知り合った。
 最初は、動物病院の息子ということで後輩ながらも頼りになる、という程度の印象だった。しかし、一緒に動物たちの面倒を見てきて、彼のさりげない優しさに触れているうちに、心|惹《ひ》かれるようになっていたのである。そして、少女はいつの間にか大介と結ばれることを夢見るようになっていた。
 だが、静華にはその夢を叶えられない家の事情がある。
 それに、少年の傍《かたわ》らは「腐れ縁の幼なじみ」だという真由がいた。二人は交際を否定していたが、端から見ているとお互いに意識しているし、ケンカばかりしながらもお似合いだという気がした。それが羨ましく、また悔しくてならなかった。
 コンの霊に取り憑かれたときも、最初は驚き戸惑ったものである。だが、その望みが主不在となった茂野動物病院を手伝うことだと知って、少女のなかにはむしろ喜びがこみあげてきた。
(これで、大介さんと一緒にいられる。もっと、大介さんのことをいっぱい知ることができる)
 という期待もあって、宮司《ぐうじ》である父の戸惑いも気にならなかった。
 だが、まさか真由まで同じことになっているとは。挙げ句、自分のほうが先に発情しながら、目の前でライバルに先を越されてしまったのだ。
 発情した本能に、こうした鬱積《うっせき》した思いが加わったせいか、今はどうにも自分を抑えられない。
 腰をくねらせていると、起きあがった少年がくびれたウエストをグッとつかんだ。
(くうぅぅん、恥ずかしい。大介さんにお尻まで見られて……でも、こうされるだけで、なんだか嬉しくてたまらないのぉ)
 思いを寄せていた少年と一つになれるという期待、なにより男性器を迎え入れることへの本能的な欲求が、静華の身体の奥で駆けめぐる。
 ペニスが秘部にあてがわれた途端、悦びがこみあげて少女はつい「ああっ」と声をあげてしまう。
「じゃあ、挿《い》れるよ」
 と緊張した声で言うと、少年が腰に力をこめた。
 先ほどフェラチオをしていたいびつな先端部が、花弁の肉を割り入ってくるのが、はっきり感じられる。
「くっ……ふあああ……」
 割れ目を押しひろげられる感触に、静華は思わず声をこぼしていた。
 一物がさらに進んできて、間もなく少女は自分のなかにペニスを遮《さえぎ》る壁のような存在を感じた。普段は意識したことがないが、これが処女の証なのは容易に想像がつく。
 いつもの静華だったら、すでに怖じ気づいていたかもしれない。
 大介も処女膜の存在に気づいたらしく、動きがピタリととまった。このまま少女を貫いていいものか、ためらっているのがペニスから伝わってくる。
(ああ。大介さんが、わたしのことを心配してくれている。嬉しい……)
 一歳年下の少年の気遣いに、静華の胸に熱いものがこみあげてきた。
 少女は振り向いて大介を見つめると、小さくうなずいた。
「大介さん、早く……わたしの処女を、大介さんにもらってほしいんです」
 普段なら決して言えないであろう言葉が、すんなりと口をついて出る。
「……わかったよ。静華さん、痛かったらゴメン」
 と言うと、大介が腰に力をこめて一物を押し進めた。
 途端に、肉の繊維がプチプチと引き裂かれる感覚が訪れ、鋭い痛みが股間から全身に向かって走り抜ける。
「きゃいぃぃぃぃぃんっ! あっ、いたぁぁぁぁぁっ! くああああっ!」
 さすがに我慢しきれず、静華は思わず苦悶の声をこぼしてしまった。
 だが、大介はもう引きかえせないと思っているのか、なおも侵入をつづける。
 そうして、少女がこれ以上は耐えられないと思ったとき、ヒップに彼の腰が当たってようやく動きがとまった。
(は、入ったぁ……全部、大介さんのオチン×ンがわたしのなかにぃ……)
 と悟った途端に腕から力が抜けて、静華はグッタリと床に突っ伏してしまった。
「はぁ、はぁ……いつっ……あああ……」
 呼吸がすっかり乱れていて、言葉が出てこない。それに、痛みで身体にもまるで力が入らない。
(でも、すごい……あそこにとっても硬いモノが入っていて、内側からグイってひろげられているのぉ)
 その初めての感触が妙に心地よく感じられるのは、発情期の動物の本能が強く働いているからなのだろうか? それとも……。
「静華先輩、大丈夫? 痛いんだったら、もうやめたほうが……」
 よほどつらそうに見えたのか、大介が心配そうに声をかけてくる。
「だ、ダメぇ。やめないで、このまま……大介さんを、もっといっぱい感じさせてほしいコン」
 と、静華は思わず訴えていた。
 痛くて苦しいのは、確かに間違いない。だが、同時にとても満たされた幸福感も湧きあがっている。
(これ、ただ男の人を迎えたからだけじゃないわ。きっと、大好きな人と……大介さんと一つになれたから、わたしはこんなに幸せを感じているのよ)
 大介は、少女が落ち着くのを待っているのか、つながったまま動きをとめていた。
 やがて痛みがやや収まって、静華の呼吸は本来のものに戻ってきた。腹に異物感があって、やや息苦しさは感じているものの、どうにか慣れてきた気がする。
「静華先輩、動いても平気?」
 恐るおそるといった様子で、少年が口を開く。
「はい……いいコン。大介さんのなさりたいように……わたし、痛くても我慢しますから」
「そんなこと……痛かったら、我慢しなくていいよ。俺、先輩が苦しい思いをするのはイヤなんだ」
 その言葉から大介の心遣いが感じられて、自然に胸が熱くなる。
 同時に、静華はこれまで心に秘めたまま言いだせなかったことを、口にしようとする決心を固めた。
「あ、あの……大介さん、一つお願いがあるんですけど」
「なに?」
「わたしのことを『先輩』って呼ぶの、やめてほしいんです」
 静華の言葉に、少年が面食らったような顔をした。
「えっ? でも、先輩は先輩だし」
「そうですけど……でも、なんだか大介さんが、わたしと距離を取っているみたいに思えて。普通に、名前だけで呼んでほしいコン」
 そもそも、真由が呼び捨てなのだから、できれば自分も同じように呼んでほしい。そうなってこそ、今はネコ耳になっている少女と対等の位置に立てる気がした。
「えっと……じゃあ、し、静華……さん」
 しばらくためらってから、大介が恥ずかしそうに言ってうつ向く。
「んっ……嬉しいコン。ありがとうございます、大介さん」
 本来なら、「さん」もいらないと言いたいところだが、とりあえず今はこれで充分だろう。
 心にあったシコリのようなものが消えると、静華のなかに動物の本能が急激に湧きあがってきた。
「くうぅぅん……ああん、大介さん動いてコン。早く、動いてほしいコン」
 どうも、キツネの意識がふくらんでくると、語尾が自然におかしくなってしまう。
 だが、大介は気にする様子もなく、少女の求めに応じて小さく腰を動かしはじめた。
「んっ、あっ……ああっ……キャイィィン……お、奥に当たるぅ……」
「静華先ぱ……じゃなくて、静華さん、痛くない?」
 子宮口をノックするように軽く突きながら、心配そうに大介が聞いてくる。
「あんっ、はい。これなら、平気コン……くぅぅん……気持ちいいのぉ」
 痛みがまったくない、と言ったらウソになる。だが、少年はあまり腰を引かず、突く動作を重視してピストン運動をしてくれていた。おかげで、痛みよりも膣壁全体と子宮口からもたらされる心地よい刺激のほうが、はるかにうわまわっている。
「すごいよ。静華さんのなか、俺のチ×ポにウネウネ絡みついてきて……スゲー気持ちいい」
 動きながら、大介がうわずった声で感想をもらす。
「ああっ、恥ずかし……そんなこと、言わないでコォン」
 と言いながらも、少女の心にはなんとも言えない悦びがこみあげてくる。
 静華の様子を見ながら、少年は少しずつ腰の動きを大きくしていった。
「きゃいぃぃぃぃんっ! いいっ! 子宮に……くうぅぅん、すごいコンっ! あっ、ああぁぁぁん、わたし、こんな声……は、はしたない……きゃうぅぅぅんっ!」
 できれば、大介に淫らな喘ぎ声を聞かせたくない、という思いはあった。しかし、彼からもたらされる圧倒的な快感の前には、そんな気持ちも霧散してしまう。
 それに、後背位が動物的な体位ということもあるのか、恥ずかしさに妙な安心感も伴っている。
 ところが、大介は不意に動きをとめると、少女の上体を持ちあげた。そして、自分の上に静華を乗せるようにして自らが床に座る。その瞬間、結合部に自らの体重が集中した。
「くあああぁぁっ! ふ、深いぃぃぃぃ!」
 ペニスが身体のさらに奥まで突き刺さって、少女は思わず叫んでいた。
 だが、不愉快な感覚ではない。むしろ、今はこの深さが少年との一体感をもたらす悦びに思える。
 大介が少女のウエストに腕をまわし、突きあげるように腰を動かしはじめた。
「ああああっ! すごっ! 突き抜けそうぅぅ!」
 子宮口をノックされるたび、すさまじい快感が脊髄《せきずい》を駆けあがって、静華の脳天まで一気に貫いていく。
「ほら、静華さんも腰を動かして」
 少年にうながされ、静華は小さく腰をくねらせてみた。
「きゃううぅぅぅん! いいコン! あんっ、あああんっ、これぇっ、き、気持ちいいのぉぉ!」
 自ら腰を動かすなど、いつもなら絶対にできないだろう。しかし、発情したコンの意識のせいか、今はさらなる快楽を求めることしか考えられない。
 大介は少女のバストをつかむと、手に力を入れてグニグニと揉みしだいた。
「はひぃぃぃ! キャウゥゥン! それ、いいのぉ! 大介さん、もっとぉぉぉ!」
 ネコ耳少女に揉まれていたとき以上の快感がもたらされて、静華はつい甲高《かんだか》い声を張りあげていた。
 さらに、大介は少女の首筋にキスをして、舌を這わせた。すると、首筋からもなんとも言えない快電流が全身を駆け抜けて、思考をしびれさせていく。
(ああっ、幸せぇ! この心地よさが、ずっとつづけばいいのに!)
 ずっと思いを寄せていた少年に愛してもらっているということに、静華は人生で最良とも言える悦びを味わっていた。
 ところが、そんな思いを察したように、少女の傍《かたわ》らでグッタリしていた真由が身体を起こした。
「ふみゃああん……静華しゃん、あたしが手伝ってあげるニャン」
 と言いながら、ネコ耳少女が顔を近づけてくる。
「ああっ! だ、ダメぇ! あんっ、あんっ、やめ……んんっ!」
 背面座位では逃れようもなく、少女の乳首は真由に咥《くわ》えられてしまった。
 咥えるなり、一歳年下の少女はまるで母親に甘える赤ん坊のように無心に乳首をしゃぶってくる。
「んむうぅぅぅ! むんっ……んんんんっ! んぐ、んぐ、んぐぐぅぅぅ! んっ、んっ、んんん……」
 静華は抵抗を試みたが、発情しきった肉体は新たに加わった快楽をいつしか受け入れてしまう。
(もう、ダメぇ……わたし、どうにかなっちゃいそう)
 大介には下から突きあげられ、さらに胸を揉まれながら首筋を舐められ、真由からはもう片方の胸を責められる。
 この四カ所からの鮮烈な快電流の嵐に、静華は切羽《せっぱ》つまった感覚を味わっていた。
「ああっ、すごい! さっきより、もっと……もっと大きなのが身体の奥から来る! もう、わたし耐えられない!」
[#挿絵(img/nyankon_105.jpg)入る]
 レズ行為やクンニリングスで達した以上の、今までに感じたことのない昂《たかぶ》りが一気に爆発しそうな予感が、脳裏を駆けめぐる。
「うああっ! し、静華さんのなか、チ×ポにすごく絡まってきて……そんなにされたら、俺もう出ちゃうよ!」
 大介が、呻くように訴えてきた。どうやら、声を出せないぶん、膣に力が入ってしまったらしい。
「出してコン! 出してください、大介さん! なかに、わたしのなかにも、いっぱい出してくださぁぁぁぁい!」
 静華はネコ耳少女の唇を強引に胸から振り払って訴えていた。
「ふみゃあっ! ダメぇ! 大介、静華しゃんのにゃかに出さにゃいでよぉ!」
 真由がなんとも悲しげな声をあげ、一歳年上の少女を引き剥がそうと試みる。
 だが、もうここまできたら遠慮もしていられないのだろう、大介はネコ耳少女の声を無視して荒々しく腰を突きあげてきた。
 そうして子宮口を何度かノックされると、静華にとうとう快楽の限界が訪れた。
「あっ、あっ、ああっ、もう……きゃはあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
 少女が絶頂の声をあげるのと同時に、大介も「くっ」と声をもらし、胸をつかんだ手に力をこめる。それとともに、静華は膣内で熱い液が弾けるのを感じた。
「ああああっ、熱いの……ザーメンが……いっぱい、いっぱぁぁぁい……」
 膣のなかが、大量のスペルマで満たされていく。さらに、逆流した精が結合部から溢れて床に落ちていくのも、はっきりとわかる。
 精液の放出が終わるのに合わせて、エクスタシーを味わった身体からも力が一気に抜けていった。
(あああ……幸せぇ……わたし今、すごく幸せなのぉ……)
 静華は絶頂の余韻に浸りながら、これまでの人生でもっとも満たされたような感覚を味わっていた。思いを寄せていた少年から濃厚に愛され、精をお腹いっぱいになるまで注いでもらったのだから、これほどの幸福はない。
「ふみゅ~! 大介のバカバカ! なんで、静華さんのなかにもセーエキ出しちゃうのよぉ!」
 と、真由が荒い息をついている少年に文句を言っているのが、妙に遠くから聞こえてくるように感じられる。
(……精……液? ああんっ、大介さんのオチン×ンが、わたしのなかでピクピクして……えっ? オチン×ン……それに、精液って……)
 不意に、静華の心に理性が戻ってきた。あれほど身体中に渦巻いていた性の渇望も、ウソのように消えている。
(わ、わたし、いったいなにを……あっ……ああ……)
 自分が今までなにをしていたのかは、すべてはっきりと覚えていた。そして、今どんな状態なのかも。
 一瞬で、静華の頭に血がのぼった。思考が真っ白になって停止し、脳味噌《のうみそ》が沸騰して爆発してしまいそうになる。
「き……きゃああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 パニックを起こした少女の、まさに絹を裂くような強烈な悲鳴が、病院中に響き渡った。
[#改ページ]




底本:「にゃんコン! ネコ耳ナース? キツネ巫女?」美少女文庫、フランス書院
   2007(平成19)年3月30日第1刷発行

入力:iW
校正:iW
2008年1月13日作成
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