SBL的妹妹不可能那么可爱!!!(补完第三章妹妹大战)
轻国有人翻了一部分就消失了最终由百度贴吧补完
翻译质量和那些老手还是有差距的
有爱的可以看原著或者等台版
介绍?
2008年最佳轻小说?(对SBL而言?)
其实这倒不是妹控……纯粹的兄妹亲情也很美好啊
外加理所当然的宅元素(比乃木坂春香好玩多了)
期待动画化!
[ 本帖最后由 winterfall 于 2009-3-3 18:36 编辑 ] 补完美~ 书记有这样的妹妹就是人生的淫家了..... 书记的妹妹!!
这真是个好消息啊,另外漫画也在连载中 然而,这里却不是那样的。因为桐乃想要搞好关系的是一群跟学校里的伙伴们属性完全不同的家伙。现在这状况,比喻一下的话嘛,就是这样的……往羊群里放进了一只想要跟羊儿们搞好关系的狼。
线下聚会之后过了第二天的下课后
原文:
羊の《ひつじ》群れの中に、『羊と仲良くなりたい狼《おおかみ》』を放り入れたようなもんだろ……。
狼がどんなに必死に話しかけようが、羊の方はビビリまくった上で『なんでコイツが、あたしたちの群れに混じっているの?』――と、なっちまう。
「~~~~っ」
俺《おれ》はもどかしさのあまり、唇を噛む。……あ、桐乃のやつ、また逃げられた。ほんっと二言三言しか保《も》たないのな。相手も最初は相槌《あいづち》うってくれるんだけど、すぐに別グループの話題に食い付いて、桐乃から離《ほな》れていっちまう。
……というか、漏れ聞こえてくるこいつらの会話、俺にはなにが何だかサッパリ分からん。
这两段之间漏了不止那么一点点
[ 本帖最后由 糊状物 于 2009-3-3 15:02 编辑 ] 原帖由 糊状物 于 2009-3-3 14:58 发表 http://bbs.saraba1st.com/images/common/back.gif
原文:
这两段之间漏了不止那么一点点
誒?我怎么記得好像看過這段的翻譯?
因为轻国有翻译,百度版接下去的时候出错了
唉,现在的年轻人做事都不牢靠
轻国放出的很多完整录入也都缺胳膊少腿,更不用说这种拼接了
我现在去补补看 这玩意儿是不是还有第二卷 有第二卷,轻国的翻译预定于白色情人节放出第一章
说实话轻国翻译的也一般,百度更囧
改好了 http://bbs.saraba1st.com/thread-444894-1-1.html
马区联动 感谢LZ分享
我还是可以把它当作妹控向作品来看吧。。 羊の《ひつじ》群れの中に、『羊と仲良くなりたい狼《おおかみ》』を放り入れたようなもんだろ……。
狼がどんなに必死に話しかけようが、羊の方はビビリまくった上で『なんでコイツが、あたしたちの群れに混じっているの?』――と、なっちまう。
「~~~~っ」
俺《おれ》はもどかしさのあまり、唇を噛む。……あ、桐乃のやつ、また逃げられた。ほんっと二言三言しか保《も》たないのな。相手も最初は相槌《あいづち》うってくれるんだけど、すぐに別グループの話題に食い付いて、桐乃から離《ほな》れていっちまう。
……というか、漏れ聞こえてくるこいつらの会話、俺にはなにが何だかサッパリ分からん。
外国に迷い込んドしやったみてーな気分だぜ……。
こめかみを押さえてため息をつくと、ふと桐乃が、助けを求めるように俺の方を向いた。
……そんな泣きそうなツラすんじゃねぇよ。そうじゃねーだろよ、いつものおまえはさ!
俺がぐっと拳《こぶし》を握《にぎ》り締《し》めようとしたところに、
「お待たせいたしましたぁ~♪ いもうとの手作りカレーだよっ、おにーいちやんっ♪」
「あ、ども」
ちょ、このクソメイド、すげえタイミングで持ってきやがって。メイドさんに『おにいちゃん』と呼ばせているところを妹に見られちゃったじゃねーか!? 台無しだよもう!
いっそ殺せ……! 俺は羞恥《ししゅうち》に打《う》ち震《ふる》えながらも妹を見つめた。桐乃はもうこっちを見ちやいなかったが、構わない。俺はぐっと拳を握り締め、視線《しせん》に力を込めた。
なあ桐乃、俺はなんにもしでやれねえ。でも、ちゃんとここで見ててやっから――
頑張《がんば》れ! 頑張れ桐乃……! 頑張れっ! ひたすら俺は意味のない念を送り続けた。
ちくしよ……!
なにが手作りだ……この味、明らかにレトルトじゃねえか……!
オフ会はそれから二時間ほど続き、最後にプレゼント交換みたいなことをやって終わった。
桐乃は終始ろくなコミュニケーションが取れず、もちろん一人《ひとり》の友達も作れなかった……。
さらに追い打ちをかけるように、桐乃に回ってきたプレゼントは、誰《だれ》が持ってきたもんなんだか、見るからにショポイ、おもちゃのマジックハンド。
……ちょっ……こ、これはねえよ。いくらなんでも、あんまりだって。
ビンゴの外れでも、もつとマシな賞品用意すんだろ……。
一人ぽつんと俯《うつむ》いて、しぃこしゅこハンドを開閉させている妹が、ホント不憫《ふびん》で仕方ねえ。
……やべ、マジで涙出てきたわ……。
俺《お九》の十七年の人生において、これほどまでに涙を誘う光景がかつてあっただろうか……。
ちなみ俺はいま、店の外で、メンバーたちの集団から、ちょっと離《はな》れた位置にいる。
と、そこでコミユテティの管理人兼オフ会幹事の”沙織《さおり》”が、締《し》めの挨拶《あいさつ》を述べ始めた。
「――皆様のご協力もありまして、記念すべき初めてのお茶会は、つつがなく終了したでござる! 拙者《せっしゃ》、心より感謝《かんしや》しておりますぞーっ!」
楽しげな歓声《かんせい》が上がる。さすがコミュニティの代表というべきか、あんな見てくれと喋《しゃべ》り方《かた》なのに、妙にオタクっ娘《こ》たちから人気があるらしい。一人《ひとり》だけタッパがあるもんだから、中学生を引率する先生みてえだ。
「――お茶会はひとまず! これで解散となりますが1まだまだ時間はあるよという方、会で仲良くなった友達ともつと話したいよという方は、それぞれ各自で二次会、三次会へと向かってくだされ! なお次回の催《もよお》しについては、またトピックを立てますゆえ、ぜひともふるってご参加くだされ! では――解散っ!」
わあっと喧喋《けんそう》が広がった。別れの挨拶《あいさつ》が飛び交い、「ねーこれからとらの穴に行こーよ」だの「二次会どこいくー?」だの「シードのカップリングについてみっちり語り合わない?」などと誘《さそ》いの文句がやり取りされている。
が、しかし――そんな楽しげな輪の中に、我が妹・桐乃《きりの》はいない。
オフ会のメンバーは、二、三人ずつ連れだって、ポッポッとその場から離れていく。
ちなみに”沙織”は、締めの言葉を発してからすぐ、猛ダッシュでどっかにいっちまった。
急用でもあったのかね?
……そんなふうにして、くしていた。もしかしたら人気《ひとけ》がほとんどなくなってからも、桐乃はその場にポッンと立ち尽位《だれ》かが誘ってくれるんじゃないかと、諦め《あきら》よう二も締め切れよ、様子《ようす》。ぐったりと疲れた表情で、肩を落としている。ぼりつばりに決めたかわいいファッションも、いまとなっては虚《むな》しいばかり。……むちゃくちゃ逆効果だったもんなあ、それ。
その姿はさながら、刀折れ矢尽きた敗残兵のようであった。しかも片手にはマジックハンド。
そんな寂《さび》しげな妹のところへ、俺は帽子を脱いで、ゆっくりと近寄っていった。
「…………何も言うな。……おまえはよく頑張《がんば》ったよ」
ぼん、と頭に手を措いてやると、すぐさまパシッと払いのけられた。
……はいはい、情け無用な。
桐乃は俯《うつむ》いたまま、俺に顔を見せようとはしなかったが――
そんだけ強がれりゃ上等だ。今回は失敗しちまったけど、反省して、立ち直って――何度だって挑戦すりやあいいのさ。そうだろう?
「よっしゃ、桐乃――せっかくアキバにきたんだ。ちょっくら観光《かんこう》していこうぜ」
ばんっと背を叩《たた》いてやると、ようやく憎まれ口が返ってきた。
「ったいな……バカ。……大体なんなのさっき、いきなり水噴《ふ》き出したりして……」
「いやおまえ、アレはしょうがねえだろうよ――」
なんでもない会話をかわしていると、ふいに桐乃《きりの》が「はぁっ」と大きなため息をついた。
「………………ぜんぜん話できなかった」
「……そうだな。ま、最初はこんなもんよ。気にするこたねーつて」
「……そんなことない。……な、なんで……? あ、あたしっ、いつもどおりにやったつもりなのに……どうして避《さ》けられるわけっ? ……くぅぅ~……かつく。……むかつく。むかつくむかつくむかつく……っ……」
イライラと歯軋《はぎし》りしながら、見苦しく地団駄《じだんだ》を踏む桐乃。
「…………」
咎《とが》める気にはなれなかった。俺《おれ》にも覚えがあるからだ。悔しさとか哀しさを、怒りに変換することでしか紛らわすことができないときが、あるんだよな……。
だが妹よ……むかつくのはホンットよく分かるんだけどさ……八つ当たりに、兄を蹴《け》っ飛ばすのはどうかと思うんだ。俺はそのへんの壁《かべ》じゃないからね? 蹴られたら痛いんすよ。
怒らないけどさ! 痛《いて》えけど、おまえも痛いんだろうから、今日《きょう》だけは我慢してやる。
「痛ってえ!? このガキャ……いくらなんでも踵《ヒール》はやり過ぎだろうが!? クソ、我慢できっかこんなもん! そこまで俺は寛容《かんよう》になれねえよ!」
そんなふうに、俺が必死で妹の八つ当たりに耐えていると。
意外なやつが現われた。
「おお苦い! きりりん氏! ……ふぅっ、よかった! まだいてくださって!」
「あ、アンタ……さ、沙織《さおり》さん……?」
息せき切って走り込んできたのは、コミュニティの管理人・沙織だった。
「おやおや、沙織さんなどと! 拙者《せっしゃ》ときりりん氏の仲ではござらんか! 呼び捨てで結構!いやぁ~それにしてもよかったよかった。いま、ちょうど携帯《けいたい》にご連絡差し上げようと思っていたところでござってな――」
にかーつと笑う沙織。しつかしテンション高《た》けえ女だな。変テコな口調《くちょう》しやがって、ちょっと遠くで開いてるぶんにゃ慣れたかと思ったけど、いざ話しかけられっとどうにも対応に困る。
この相手にゃ桐乃も調子《ちょうし》が狂ってしまうらしく、おずおずと、こう問うのが精一杯だったようだ。
「あ、あたしに何か――?」
「うむっ」
沙織は口元をω《こんなふう》にして領《うなず》いた。こんな図体しくさって、妙にかわいい仕草《しぐさ》をするやつである。ぐるぐる眼鏡《めがね》で半分隠れてしまっているが、間近でよく見りやかなり整《ととの》った顔立ちをしている。誰《だれ》かさんと違って、眼鏡外したら意外に美人なのかもしれない。
さておき、沙織は指を一本立てて、こう言った。
「実は、これから二次会にお誘《さそ》いしようと思いましてな」
「えっ?」
意外な申し出に当惑《とうわく》する桐乃《きりの》。返事をする間もなく、ぐるぐる眼鏡が俺の姿を捉えた。
「きりりん氏、ところでこちらの男性は? 勘違《かんちが》いでなければ、さきほど店内でお見かけしたような気が――ああなるほど」
沙織《さおり》は一人《ひとり》で勝手に得心《とくしん》して、
「彼氏でござるな?」
「「違ぁ――う!?」」
同時に反論《はんろん》する俺&桐乃よりにもよってなんつー勘違いしてやがる!?
「はて、違うとおっしゃる? いや失敬ーしかし拙者《せつしや》、そちらの彼氏は先ほど、店内でずーっときりりん氏を凝視《ぎょうし》していたようにお見受けしましたぞ? てっきりアレは愛のまなざしであろうと得心しておったのですが」
「なわけないじゃん!? やめてよも――っ! 想像しただけでキモっ!?」
むっかつくなこの妹様はよ……否定するにしたって、他《ほか》にもっと言いようがあるだろ。
そう思いながら俺は補足する。
「俺は高坂京介《こうさかきょうすけ》ってもんで、こいつのれっきとした兄だっての。勘違いすんな」
「ほほう。なるほどなるほど、きりりん氏の……似てない兄妹ですな」
ほっとけや。
ふむふむと領いた沙織は霊愕向かって軽く会釈をした。わがはい
「それでは改めて。すでに御存知であろうかと思いますが、我輩は”沙織・バジーナ”と名乗っておるものでござる。”沙織”とお呼びくだされ。ニン」
「……こりゃどーもご丁寧《ていねい》に……」
ニンて。ほんっと、いかにもオタクっぼいなあんた! あと一人称変わってんぞ? 心の中で突っ込みつつ、俺は会釈を返した。 「ではでは、京介氏――京介氏とお呼びしても構いませんな――京介氏も一緒《いっしょ》にどうです?」
「どうですて……その二次会とやらのことか?」
「もちろん! いかがかっ?」
うお、行きな。顔近づけんなって。びっくりするだろが。
俺が怯んで一歩さがると、代わりに桐乃が口を開いた。ちょっぴり不安そうな口調で、「えっと、それって……他にもたくさん人が来るの?」
つまり行きたくねーんだな、こいつ。理由は分かるよ。行ったってまた除け者にされるんじゃあ面白《おもしろ》くねーもんな。
桐乃の場合、他んトコじゃちやほやされてばかりいたもんだから、余計にきっついんだろう。
しかし沙織は「いやいや」と大袈裟《おおげさ》な身振りで首を振った。片手の指を四本立てて言う。
「きりりん氏と京介《きようすけ》氏を合わせて四人です。先ほど拙者《せっしゃ》があんまりお話できなかった方と、もっと仲良くなりたいと思ってお誘《さそ》いした次第で。ですからまあ、二次会といってもささやかなものですな。マックとかでちょっとお喋《しゃべ》りでもして、それから二緒《いっしょ》に買い物でもどうかなと」
「ふ、ふーん……」
詳細《しょぅさい》を聞いた桐乃《きりの》は、明らかに心動かされた様子《ようす》で、考え込み始めた。
そういうことなら自分が除《の》け者《もの》にされることもないだろうし、行ってもいっかなー。
桐乃の考えは、おおかたそんなところだろう。
――チャンスじゃん、悩むことないだろ?
俺《ぉれ》はそう思ったので、桐乃の行動をうながすべく、沙織《さおり》に向かってこう言ったり
「俺は構わないけど。こいつがいいっで言うならな」
「ふむ、いかがですか? きりりん氏」
「うーん」
桐乃はさらに考えるそぶりを見せ、さんざん勿体《もつたい》ぶった仕革《しぐさ》をしてから、頬《ほお》を染めた。
「わ、分かった。そんなに言うなら…‥行ってあげてもいいケド」
その台詞《せりふ》が、あまりにも子供っぽかったもんだから、俺は笑いを堪《こら》えるのが大変だった。
一見同年代にしか見えない妹ではあるが、たまにこういう年相応のところを見せられると、かわいいもんだと微笑《ほほえ》ましくなる。
「ああ、よかった! では、お二人《ふたり》とも、参りましょうぞつ! もうお一方《ひとかた》は、すでにマックでお待ちいただいておりますので――」
背中のポスターをビームサーベルのように抜きはなって、先を指し示す沙織。
やたらとでっかい、オタクファッションの女の子。変テコ口調の《くちょう》、コミュニティの管理人。
正画、なんにも考えてない変なヤツにしか見えないんだけど……もしかしたら。
伊達《だて》にオタクどものリーダーやって、慕《した》われているわけじゃねーのかもしれないな。
その考えは、二次会に参加する『最後の一人《ひとり》』と会って、確信《かくしん》に変わることになる。
いま俺たちが座っているのは、プリティガーデンから一番近くにあるマックの二階、角のソファー席。テーブルを二つくっつけて、四人がけにしてある。
俺と桐乃が並んで座り、俺の対面に沙織、桐乃の対面に最後の一人という席配置。各席の前にはドリンクが置いてある。俺、桐乃、沙織の三人は、一階でドリンクを買ってから二階へと上り――ほんの数秒前、この『最後の一人』と対画した、という場面だ。
ちなみに四人が揃《そろ》ってからまだ誰《だれ》も、一言も喋っていない。
……しつかし、沙織とは別の意味で、凌《すげ》え格好だな。
俺は『最後の一人』の姿を見るや、目を見張ってしまった。
……そういやこの人、顔はろくに見なかったけど……桐乃とは反対側の隅《すみ》っこの席で、ぽつんと携帯《けいたい》いじくつでたヤツじゃん。
ジッと俯《うつむ》いているから顔は見えないが、めちゃくちゃ綺麗《きれい》な黒髪の持ち主だ。
でもってコレは……コスプレってやつなんだろうな……。
彼女が着ている服は、これまた真っ黒のドレスだった。バラの花びらみたいなのがヒラヒラたくさんくっついていて、やたらと豪勢な感じがする。このまま普通に舞踏会《ぶとうかい》に出られそうだ。
「ずっと気になってはいたけど……近くで見たらすっご……水銀灯《すいぎんとう》みたいじゃん…‥」
というのが桐乃《きりの》の感想。でもさー桐乃、これはこれでおまえとは違う意味で浮くよなあ?
何のコスプレかしんねーけどよ、こりゃどう見ても気合過多だろ……。本格的すぎ。
全員が席に輝‥のを確認《かくにん》してから、沙織《さおり》が俺《おれ》たちを組介してくれた。
「こちらのお二人は、きりりん氏と――特別ゲストで、その兄上様の京介《きょうすけ》氏です。そして、こちらは我《わ》がコミュニティのメンバーで――」
「……ハンドルネーム”黒猫”よ」
最後の一人は、そこで初めて顔を上げ、ぼそっと自己紹介をした。
無感情な、淡々《たんたん》とした喋り方《しゃべかた》だ。
「えっと……きりりんです。よ、よろしくね」
桐乃が緊張《きんちょう》した様子《ようす》で言った。若干《じゃっかん》似合わない喋り方だが、オフ会の間中、こいつはこんな感じだった。
「高坂《こうさか》京介だ。飛び入り参加ですまない」
次いで俺が、妹にならって自己紹介すると、陰気な声で返事がきた。
「……そうね。とりあえず、よろしく」
率直に言うが、黒髪のゴスロリ女はどえらい美人だった。
といっても桐乃とはだいぶタイプが違う。
前髪を揃《そろ》えた長い黒髪。真っ白な肌。切れ長の瞳。《ひとみ》左目目の下に放きぼくろ。
ドレス姿の女を、こう表現するのはどうかと思うが、どこか幽霊《ゆうれい》じみた和風美人である。
赤いカラーコンタクトを嵌《は》めているのは、コスプレの一環《いっかん》だろう。
見るからに性格がキッそうで、陰気で――いまにも黒魔法《くろまはう》とか使いそうな雰囲気。美人ではあるが、桐乃のような華《はな》やかさはまるでなく、マイナスベクトルの黒いオーラが全身からゆらゆら立ち上っている感じ。
「……面子《メンツ》が揃ったようだからさっそく聞くけれど。……私をこんなところに誘って、管理人さんはなんのつもりなのかしら?」
「はっはっは――先ほども申し上げたではありませんか、拙者《せっしゃ》が二次会にお誘《きそ》いしたかったのだと。いやぁしかし危なかったですな! 拙者の話が終わった瞬間《しゅんかん》、スタスタ帰ってしまわれるものですから、慌《あわ》てて追い掛けてしまいましたぞ! まったく、あれでは誘う暇《ひま》もないではありませんか!」
このこのっと肘《ひじ》でつっつく沙織《さおり》。ゴスロリ女は超無表情。初登場時からピクリとも表情が変わらないのが不気味すぎる。
しかしなるほど、さっき沙織が猛ダッシュしたのはそれか。
……やっぱりな。だんだんこの沙織とやらの考えが分かってきたぜ……桐乃《きりの》、そしてこのゴスロリ女。なんでわざわざこの二人《ふたり》を選んで誘《さそ》ったのか、その理由が博々《うすうす》な……。
おそらくこの二次会は、コミュニティの管理人である沙織が『さっきのオフ会であぶれちゃってたやつらを誘って、ちゃんと楽しんでもらおう』という趣旨《しゅし》で開催《かいさい》したものなんだろう。
だから他《ほか》に人がいねーんだ。
――『先ほど拙者《せっしゃ》があんまりお話できなかった方と、もっと仲良くなりたい』ね。
上手《うま》い言い方だ。ふーん。見かけによらず、さりげない気配りのできるやつなんじゃん。
もしかすると、『なんで俺《おれ》が桐乃に付いてきていたのか』いっさい聞かず、さらっと『特別ゲスト』として受《う》け容《い》れてくれたのも、俺たちの事情を薄々察してくれているのかもな。
だとすっと……はは……見かけどおり、度量のでかいやつじゃねえの。
「ちゅー……」
まだ警戒《けいかい》が解けていないらしく、黙々《もくもく》とコーラを吸《すす》っている桐乃。
こいつは全然気付いてないみたいだが……”黒猫”は気付いているみたいだな。
初対面でいきなり不機嫌《ふきげん》そうにしているのは、だからなのかもしれん。
まあ……ありがたい反面、相手の気遣《きづか》いを察してしまうと、どうしても情けをかけられているような気分になるわな。それはまあ、いかんともしがたい。
黒猫の心中は複雑だろう。実のところ、俺だってちっとは複雑な気分さ。
でもさあおまえら、俺が管理人だったら、わざわざあぶれたやつらに声なんてかけねーぞ? 初めていった会合の空気に馴染《なじめ》めなかったヤツは、どうせ次の会にゃ来ないだろうし、沙織としてはそれでもよかったはずなんだよ。
だから俺はこう思う。この変な格好しているデカ女は、いいやつなんだって。
「ところで管理人さんなどと他人|行儀《ぎょうぎ》な呼び方はやめて、遠慮《えんりょ》なく”沙織”とお呼びくだされ黒猫氏。せっかくこうして集まったのですから、無礼講《ぶれいこう》で楽しくいきましょうぞ」
「その図体で”沙織”だなんて、よくもまあ名乗れたものね、図々しい」
このゴスロリ、相手から無礼講って言葉が出た瞬間《しゅんかん》、なんてこと言いやがる。
「やや、そんなことを言われたのは初めてですなあ」
「それはそうでしょう。あなたがネット上で演じてた『清楚《せいそ》なお嬢様《じょうきま》』なら、あのハンドルネームでイメージぴったりだったのだから。……でも実物はコレでしょう? 幾らなんでも詐欺《さぎ》というものよ。出オチにしたってタチが悪いわ。――悪いことは言わないから、今後は”アンドレ”とでも名乗っておきなさいな。それなら間違いないわ。……それに、その妙な口調と《くちょう》格好《かっこう》――『ニン』ってあなたね……」
「何年前のキモオタだよって感じ」
ボソッ。借りてきた狐のように縮《ちぢ》こまっている桐乃《きりの》からも危険な本音が飛び出した。
「お、おまえら!? 無礼講《ぶれいこう》っつーのは、毒舌フリーつて意味じゃねえ!」
いや確《たし》かに俺《おれ》もそう思ったけども! それは言っちや駄目《だめ》だろ!?
せっかくあぶれちゃったおまえらを誘《さそ》ってくれた管理人さんに、なんつーひどい仕打ちをしてんのけ この恩知らずどもが! 特に桐乃! 大人《おとな》しくしてると思ったら第一声でそれかよ!? 土下座《どげざ》して謝《あやま》れや! そっぽ向いてコーラ飲んでいんじゃねえ! ところがボロクソ言われたとうの沙織《さおり》は、けろっとしたもんだった。
「まあまあ、京介《きようすけ》氏、そうカッカせず。拙者《せっしゃ》のために怒ってくれたのには感謝《かんしや》いたしますが――フッ、あいにくこの程度の毒舌など、この身にとってはそよ風のようなもの。むしろ心地《ここち》よい。ですからまあ、お気になさらず、京介氏もどんどん罵《ののし》ってくれて構いませんぞ?」
「アンタのことは、すげえいい奴《やつ》だと思いかけてたんだけどな、俺。――最後の方に余計な言葉がついたことによって、よく分からなくなってきたわ!」
どんだけ毒舌に耐性があんだよ。
俺が温《ぬる》い視線《しせん》を送っていると、沙織は指を一本立てて身を乗り出した。
「――とまあ、打ち解けてきたところで。皆のもの、改めて自己紹介というのはいかがかっ?」
「いまのやり取りで『打ち解けてきた』と判断するのは正直どうかと思うが……」
悪くない提案ではあるよな。しかし沙織の発言で、場はしんと静まり返ってしまう。
「………」
いや、おまえら一言くらい反応しようぜ? 気まずいだろうが。
仕方なく俺は、率先してこう促《うなが》した。
「いいんじゃねえか? なあ」
「…………」
やっぱり返事がこない。どうやら黒猫と桐乃は、戸惑《とまど》ってしまっている様子《ようす》だ。
黒猫は、どう見てもこういうのはガラじゃなさそうだし……桐乃はさっきの失敗が堪《こた》えているんだろう。ふむ。となると、漠然《ぼくぜん》と自己紹介しろって言われても、気が引けちまうか……。
部外者が口挟むのは、あんまよくねーんだけど……やむをえん。俺は、こう提案した。
「じゃあ、自己紹介する人に順番で『質問』をしていく形式にするってのはどうだ? その方が話しやすいだろ。あ、もちろんパスありな? で、どんどんローテーションしていくわけ」
「ふむ、ナイスアイデア、さすが京介氏。――ではさっそく、黒猫氏への質問タイムからいきましようぞ!」
「……勝手に仕切ってくれるわね」
ジロリと睨《ね》め付けてきた黒猫を、沙織《さおり》は「まあまあ」と大仰《おうぎょう》な仕草《しぐさ》でなだめる。
すると黒猫は、ホットコーヒーに「ふう……」と息を吹きかけ、ゆっくりと一口飲んでから、どうでもいいかのようにこう呟《つぶや》いた。
「まあいいわ。……で、もう名乗ったはずだけれど。私はあと、何を話せばいいのかしら?」
「ええと、ではさっそく。拙者《せつしや》からの質問は……そうですなあ」
てっきり『一番聞きやすいこと』を尋ねるかと思ったのだが、沙織はそうしなかった。
「『最近、一番あせった瞬間《しゆんかん》は?』というのはどうですかなっ?」
「……自己紹介のための質問ではないの? どうして、そんなバラエティ番組のゲストへの質問みたいな……」
まったく同感だ。このでかぶっの発言は、さっぱり読めん……。しかし黒猫は「まあいいわ」とさらりと流した。まあいいのか、えらいクールっすね。
そんなふうにして、会話の流れは、だんだんとスムーズに流れ始めた。
「ふん、『最近、一番あせった瞬間は?』だったわね……それなら……」
黒猫はしばし無表情で思案していたが、やがて淡々《たんたん》とした口調で《くちよう》呟いた。
「ニコニコ動画に投稿《とうこう》するために、ネコ耳とシッポをつけてウッーウツーウマウマを踊っているところを妹に目撃《もくげき》されたときがそうね。……フ、あのときは、さすがの私もあせったわ」
ニコニコうんたらとやらはよく知らんが、アンタが見た目に反してまったくクールじゃない
のはよく分かった。あと台詞《せりふ》の半分くらいは解読不能なんで、突っ込むことすらできない。
「ははは黒猫氏は意外とオチャメさんですなあ。妹さんがいらっしゃる?」
「ええ。不可思議《ふかしぎ》なモノを見る目で、口半開きになっていたわ」
そうだろうよ。ちょうどい圭の俺みたいな感じだろ? スゲー気持ち分かるわ。
で、それからしばらく黒猫の妹についての会話がかわされていたんだが、その間、桐乃《きりの》は一言も喋《しゃべ》っていない。相変わらず緊張し《きんちょう》てるみたいだなコイツ。
と、沙織がいいタイミングで桐乃に話を振ってくれた。
「次は、きりりん氏の番ですな。黒猫氏への質問をどうぞ!」
「え、あ、あたし? ……え、えーとお」
いきなり沙織に指差され、目をぱちくりさせる桐乃。
「と、特に……ない……かな? ……バスで」
……バカ桐乃。なにやってんだおまえ! せっかく沙織が気を追《つか》って『一番開きやすいこと』を聞かずにおいてくれたんじゃねーか! 聞けよ!? 服のことをさ!?
「………………」
だが俺の願《ねが》いは通じなかったらしく、桐乃はぎゅっと縮《ちぢ》こまって俯《うつむ》いてしまう。
こりゃアレかもな。さっきハブられたのがトラウマになりかけてんだ。なもんだから……
どうしたもんか……。俺は、ぼりぼりと頬《ほお》をかきながら、黒猫に適当な質問を投げかける。
「好きな食べ物は?」
「魚。……はい、これでいいのかしら?」
いやいや義務を果たし終えたみたいな感じで呟く《つぶや》巣猫。
……く……どうやらこの女も、年上への敬意が足りんようだな……くそう。
「さて。次は、きりりん氏が自己紹介をする番ですぞ」
「あ、あたし……? うん……え、えっと……きりりんです」
固くなっている桐乃《さりの》は、改めて名乗ったものの、きゅっと俯《うつむ》いてしまう。
場のテンションが下がるのは許さないとばかりに、いいタイミングで沙織《さおり》が声を張り上げる。
「それではきりりん氏への質問ターイム! 黒猫氏、どうぞっ!」
「あなたどうして、そんな浮いた格好《かっこう》をしているの? 渋谷《しぶや》で合コンとかならまだ話は分かるのだけれど、アキバでオフ会やるのに、そのファッションはありえないと思うわ」
ずばっと聞きにくいことを聞くなあ、このゴスロリ!?
トラウマになりかけてんだから、それは聞いてくれんなよ! 確《たし》かに服のこと聞けって念じたけど、アンタに言ったんじゃねえから!
「むっ……」
しょぼくれてた刷乃も、さすがにカチンときたらしく、黒猫に反論《はんろん》した。
「悪かったわね……しょうがないじゃん、コレがあたしらしい服なんだもん。だ、だいたい自分だって……」
「……自分だって? 何かしら? 言ってごらんなさい?」
せせら嗤《わら》うように囁《ささや》く黒猫。うおお、ものスゲ――――見下されてる感じがする。
「うぐ……」
桐乃のこめかみで、ビキビキと血管が浮かび上がった。……うわ、我慢してる我慢してる。
短気なはずの我《わ》が妹は、普段《ふだん》ならばありえないほどの自制心を発揮して、すぅはあと深呼吸。
内心ではキレているはずだが、とりあえず怒りを表に出すことはなかった。
でもちょっとした刺激《しげき》で爆発《ばくはつ》するぞ、コレ。心配だなあ……。
このやばい空気をなだめてくれることを期待して、ちらっと沙織の顔を見ると……
『はて? いかがいたしましたかな?』みたいなオトボケ顔で、かわいく首を傾《かし》げやがった。
どうやらこいつは、何もせず静観《せいかん》するつもりらしい。……つたく、どういうつもりだ?
火薬のにおいを漂わせたまま、桐乃と黒猫の会話は続く。
「やっぱさっきのパスなし。あたしからも質問させて。――そのドレスって、何のコスプレ? 水銀灯《すいぎんとう》……じゃないよね?」
「ああこれ? 水銀灯じゃないわよ、全然違う、どこに目をつけているの? ……マスケラに出てくる『夜鷹の女王《クイーン・オブ・ナイトメア》』……まさか、知らない?」
知らねえ。まさかと驚《おどろ》かれても知らないもんは知らねえ。桐乃も知らなかったようだ。
「ふぅん? 名前は聞いたことあるような気がするけど……アニメだっけ~」
「ええ。『maschera~堕天《だてん》した獣《けもの》の働巽《どうこく》~』――ストーリー・作画ともに今期穀高峰のアクションアニメよ。毎週木曜日《もくようび》の夕方にやっているから、ぜひとも観《み》て頂戴《ちようだい》」
「あ、それって、あの――メルルの裏番組じゃない? 確《たし》かオサレ系|邪気眼厨二病《じゃきがんちゅうにびょう》アニメとか言われてるやつ」
ぶちっ。いま、俺《おれ》には、ドクロマークのスイッチが押される幻影《げんえい》が見えたね。
「――――聞き捨てならないことを言うのぬ、あなた。メルルって、まさか『星くず☆ういつちメルル』のことかしら? ――――ハ、バトル系魔法《まほう》少女なんて、いまさら流行《はや》らない物は。あんなのは超低脳のお子様と、萌えさえあれば満足する大きなお友達くらいしか観ない駄作。だいたいね、視聴率的《しちょうりつてき》にはそっちが嚢番組でしょう? くだらない妄言《もうげん》はやめなさい」
「視聴率~ なにソレア いい子 あたしが観てる番組が『表』で――それ以外が表番組なの。コレ世界のしきたりだから覚えておいてね? だいたいアンタ、その言い草だとメルル観てもいないでしょ。つーか一期のラストバトル観てたら、絶対そんなふざけた口きけるはずないからね! あーかわいそ! アレを観てないなんて! 死ぬほど燃《も》える押入歌に合わせてメチヤクチャぬるぬる動くつてーの! キッズアニメなめんな!」
「あなたこそ口を慎《つつし》みなさい。なにが厨二病アニメよ。私はね、その漢字三文字で形成される単語が死ぬほど嫌いだわ。ちょっとそういう要素が入っているというだけで、作品の本質を見ようともせずにその単語を濫用《らんよう》しては批判する蒙昧《もうまい》どももね。あなたもそんな豚どもの一匹なのかしら?」
<img src=\"img/171.jpg\">
なにコレ? なんでいきなり喧嘩《けんか》が始まっちゃってんの?
「待-て待て待て待て待て! 二人《ふたり》とも立ち上がんないで座れ! 落ち着けって! たかがアニメじゃねえか、な?」
「「たかがアニメ[#「たかがアニメ」に傍点]?」」
ぐりんと二人揃《そろ》ってこっちを向く桐乃《きりの》&黒猫。
「……し、失言でした!」
いかん、マジになったアニオタはおっかねえ。助けを求めて沙織《さおり》を見ると、このぐるぐる眼鏡《めがね》、我《われ》関せずみたいな態度でオレンジジュースを啜《すす》っていやがった。俺《おれ》はこそつと耳打ちする。
「……何とかしてくれよ、オイ」
「二人ともこんなに打ち解けてきて――フフ、意外と相性《あいしょう》がよかったのかもしれませんな?」
「どこに目ェつけてんだおまえけ」
誰《だれ》も止めないもんだから、もちろん口喧嘩は続行されてしまう。
「ふん……あなた、どうやらずいぶんといい性格をしているようね? そんなだから、オフ会で誰からも相手にされないのよ。自覚あるのかしら?」
「どっちが? あたし見てたんだからね、アンタがずーっと一人《ひとり》ぼっちで携帯《けいたい》いじってたの。暗すぎ! はん、あれじゃ――誰も話しかけてこないって」
「うるさいわね……。突然|朝日《あさめ》新聞のネタ画像が見たくなったのよ……」
仁王立《におうだ》ちで睨《にら》み合う女二人。どっちも美人なんだけど……なんという低レベルな言い争い。
ぶっちやけ、どっちもどっちだろ。つたくよ~……どうして美人ってのはこう、性格に問題があるヤツばっかなんだ? おまえらのせいで、俺の美人への偏見《へんけん》がどんどん強まっていくじゃねーか。やっぱ普通が一番だよな……なんか無性《むしょう》に幼馴染《おさななじ》みの顔が見たくなってきたわ。
そんなふうに俺が現実逃避《とうひ》していると、醜《みにく》い口喧嘩が中断されたスキを衝《つ》いて、沙織が割り込んだ。
「さて。議論《ぎろん》も一段落したようですし、そろそろ次に移りましょう。次は――ええと、拙者《せっしゃ》のターンですな」
沙織のよく通る声が響《ひび》くや、場の注目が彼女に集まる。にっ、と口角を吊《つ》り上げて笑《え》む。
「では改めて。拙者は”沙織・バジーナ”と申すものでござる。『オタクっ娘《こ》あつまれー』コミユの管理人を務めております。プロフィールページにも書いてはありますが、年は十五――中学三年生ですな。確《たし》か黒猫氏とは同い年であったはず」
さりげなく話題を振る沙織であったが、黒猫はノーリアクション。ガン無視。
ふーん。こいつら、桐乃《きりの》のいっこ上なのか。……黒猫はまあ、そんなもんだろうと予想は付いていたけどさ。沙織《さおり》……これで……俺《おれ》より年下なのか……
俺は信じられないという心持ちで、沙織の全身を眺め回した。
「ちなみに拙者、スリーサイズは上から、88、60、」
「それは言わんでいい」
「フッ、なんと藤原紀杏《ふじわらのりか》と同じでござる」
「人の話を聞けよ! 誇らしげに言ってんじゃねえ!」
クソ。なんで俺が、一人《ひとり》で突っ込みを担当しなくちやなんねーんだ?
幾らなんでも、だんだん捌《さば》ききれなくなってきたぜ……。
俺はここに突っ込みの鍛錬《たんれん》をしにきたわけじゃねーんだけどなあ。
「もういいから誰《だれ》か早く質問してやれ」
脱力して助けを求めると、反応したのは、意外にも黒猫だった。
「……じゃあ『誰もが聞きたかったであろうこと』を私が代表して、沙織さん、あなたに聞いてあげる。―そのキモオタな口調《くちょう》と服装《ふくそう》はいったい何?」
俺もそれは凄《すご》く聞きたかった! 内心で喝釆《かっさい》をあげるものの、素だという答えが返ってきたらどうしよう。妹を連れて変態から逃走すべきだろうか? 俺の懸念《けねん》は、しかし、幸いにも無駄《むだ》に終わってくれた。沙織から返ってきた答えはこうだ。
「いやはは、お恥ずかしい。――拙者、実はオフ会の幹事など務めるのは初めてだったもので――少しでも皆から好かれようと、気合を入れてリーダーに相応《ふさわ》しいキャラを作ってみたのです。……ですから拙者《せつしや》、普段《ふだん》はもう少し、大人《おししな》しい女の子なのですよ?」
いや、なのですよて。まじっすか? 服装だけじゃなくて口調《くちょう》も、キャラ作りの一環《いつかん》? ええと……突っ込みどころはホント無数にあるんだが……とりあえずその『普段は大人しい女の子なの』という自己主張は到底信じられんな。それはたぶん、自分で思ってるだけだろ。
聞いたとうの黒猫も、赤い眼をぱちくりさせて驚《おどろ》いている。
「……気合を入れるとどうしてそうなってしまうのか、理解できないわ。……フッ、まあ、誰かさんみたいに勘違《かんちが》いしたブランド物で完全|武装《ぶそう》してきた挙げ句、空回《からまわ》りして避《さ》けられるよりはマシなんでしょうけれどね?」
「なにソレ? ムカック……自分だって人のこと言えないじゃん。なにその無駄に気合入ったゴスロリドレス!? いくらアキバだっていったって、オフ全でそんな格好《かっこう》してくるバカがいるとは思わなかったなぁ!」
「……なんですって?」
再びメンチを切り合う桐乃&黒猫。この二人《ふたり》はもう放っとこう。いちいち止めんの疲れたわ。
ところで……俺はあることに気が付いた。
流行のブランドもので、バッチリかわいく決めてきた桐乃。
超本格的なコスプレをしてきた黒猫。
キモオタファッションに身を包んだ沙織《さおり》。
三者三様。服装も性格もてんでんバラバラの三人だが、こいつらには共通しているところがある。それは……三人が三人とも、オフ会が上手《うま》くいくようにという願《ねが》いを込めて、それぞれ気合入れたファッションを決めてきたんだろうってところだ。
「ふむ……」
桐乃《きりの》と黒猫のよく分からん罵《ののし》り合いを聞きながら、この数時間のことを反豹《はんすう》してみる。
今日《きよう》、俺《おれ》は桐乃以外のオタク連中に初めて触れたわけだが……正直なところ、想像していたのとは大分違っていたんだよな。ここでいうオククというのは、狭義の意味でのオタク、つまりゲームやアニメ――いわゆるサブカルチャーに傾倒《けいとう》しているやつらのことだ。
当たり前のことを言うが、それは『大好きな趣味《しゅみ》を持っている』という、ただそれだけのことなんだよな。そう、それだけのことなのさ。R&Bが好き、バスケが好き、ミステリーが好き、書道が好き――そういうのと何にも変わらねえ。
だが、俺は、いままでそうは思ってなかった。オタクってのは、なんだかこう、そういうのとは違うもんなんだと特別視していたフシがある。よく知りもしねえくせにだ。
いまも俺の脇《わき》で桐乃と黒猫が、ベラベラベラベラ喧嘩《けんか》ごしで、たぶんアニメの話をしているけどさ。それってカラオケボックスの一室で、女子高生どもが、夢中で憧《あこが》れのカリスマアイドルの話してるのと、どう違う? 洒落《しゃれ》たカフェの片隅《かたすみ》で、セレブが恋愛小説の話してるのと、どう違うんだろうな~
たぶんだけど……たいした違いはないと思うんだよ、俺は。違うかな?
世間体《せけんてい》があるから、おおっぴらに趣味《しゅみ》を明かせないと桐乃は言っていた。
それも分かる。昨日《きのう》までの俺が抱いていたイメージを思い返してみれば、世間ってのがいかにオタクへの偏見《へんけん》で満ちているかは一目瞭然《いちもくりょうぜん》ってもんだ。特に中高生の間ではな。
……しかも、全部が全部、偏見ってわけでもねーしな……。
だってこいつら[#「こいつら」に傍点]って、変じゃん? 少なくとも『普通』じゃねーよ。偏見持ってた俺が、あえて言うけども。見くびってたわ! 想像以上に変だよおまえら!
いやまあ。俺の知っているオタクって、まだ三人しかいないからさ、こいつらを基準にしちやいかんよという向きもあるかもしれん。正しいオタク像からは、かけ離《はな》れてるのかもしれん。
だから、あくまでこれから言うのは、現時点での俺が抱いた、偏見に満ちた感想だ。
オタクってさ――そんな捨てたもんじゃなくね? 変だけど。
俺は、いかにもオタクなカッコした、ぐるぐる眼鏡《めがね》のデカ女を見やる。
例えばこいつなんか……桐乃とたいして年も適わないのに、ずいぶんと気配りのできる気の良いやつじゃんか。なんかもー、すべてにおいて変テコだけどさ! ちゃんとみんなが楽しめるよう、リーダーの務めをはたしているのは偉《え》れーと思うよ。
捨てたもんじゃないってのは、何もこいつに限った話じゃねえ。
今日《きょう》の出来事をもう一回思い出してみれば、よーく分かるが
オフ会やってた、さっきのメイド喫茶《きっさ》にしろ。祭りみてーだった、あの大通りにしろ。
でもつてこの二次会にしろだ。桐乃《きりの》がハブられててかわいそうだった件以外で、俺《おれ》にゃ、悪いイメージはまったくないんだよな。だって楽しそうなんだもんよ。
同じモンを好きなやつらで集まって、騒《さわ》いで、遊んで――
混ざれないのが、悔しくなってくるくれえだよ。
世間体《せけんてい》が気になる? 偏見がおっかない? よーし、それじゃあオマエもこっちに来いよ。
さあ俺らと一緒《いっしよ》に、大儀ぎして遊ぼうぜ――そんなふうに手を差しのべられているような気がするんだな。誰から[#「誰から」に傍点]かって? いや、それはよく分かんね-けれども。
強《し》いて言やあ、みんな[#「みんな」に傍点]から、だ。我《われ》ながら、なんのこっちやちゅー話だけどさ。
だからこいつらは、望んでここにいるんじゃねえかな?
仲間を捜してここに来た、桐乃みてーに。
だってちょっと見てみろよ、この桐乃と黒猫のギャーギャーうるせー言い争い。
出会ったその日に、こんだけ本気で深い喧嘩《けんか》ができるって、それはそれでスゲーと思わないか? で、さ。それって……こいつら二人《ふたり》の間に、強く通じ合う『大切なもの』があるってことだと思うんだ。
まあ傍《はた》から見てるぶんにゃ、それは、人によっては、変テコに見えることもあるんだろう。
でも、それは、絶対、憩いもんじゃあない。そう簡単《かんたん》に見下したり、捨てていいようなもんじゃあない。たとえどんなに妙ちきりんに見えようと、だ。
「……っふ……よくもまあ、べらべらと好き放題さえずってくれたものね……人間|風情《ふぜい》が……いいでしょう、外へ出なさいなビッチ。真の恐怖というものを、じっくりとその身に刻んであげる。来世で後悔するがいいわ」
「うっさい! いい加減にしてよね、この邪気眼《じゃきがん》電波女っ!」
「……じゃっ、邪気限……ででで電波女ですって……? ク、クククク……ついに言ってはならないことを言ってしまったわね……。あ~あ。かわいそうに、どうなってもしらないわよ……後悔してももう手遅れ。もはやこの負の想念は、私自身にすら止められはしない……」
「バッカじゃないの!? アンタさー、生きてて恥ずかしくならないワケ? もう死ねば?」
……前言撤回《てつかい》してもいいっすか? オタクってやっぱりさあ……いいやつらばっかじゃねえな。
それからしばらくして。マックを出た俺たちは、沙織《さおり》が予定を立てたとおり、秋葉原《あきはばら》で軽く買い物をした。この事件(あえて事件という単語を使わせてもらう!)については、非常に長くなるし、思い出したくもないので割愛《かつあい》する。というかさ! 分かんだろ!? この面子《メンツ》でアキバ巡りなんてしたら、どんなことになるのかくらい! ちょっと想像してみてくれよ!
……した? したな? OK、その想像に、俺《おれ》が被る《こうむ》被害を150%ほど上乗せすると、おそらくかなり事実に近いモンができあがるはずだ。
ったく……よくぞ逃げ出さなかったもんだぜ。我ながら偉いと思うよ。
ちなみに桐乃《きりの》と黒猫は、その間中も、ずーっと口汚く罵《ののし》り合っていた。しかも大体オタクネタが絡んでくんだよな。アニメから始まって、ゲームやら、漫画やら――カップリングがどーたらこーたら、作画がうんたら、DVDの値段が云々《うんぬん》――よくもまー罵貫雑言《ばりぞうごん》のネタが尽きねえもんだと感心しちまったよ。
夕方になって、二次会を解散した直後のいまだってそうだ。あの二人《ふたり》は一応別れの挨拶《あいさつ》もすませたってのに、依然として喧々罵々《けんけんごうごう》、邪気眼《じゃきがん》VS魔法《まほう》少女をやっている。
「ふふふ、きりりん氏と黒猫氏は、すっかり意気投合したようですなあ」
「アンタには、どうしてアレがそう見えるんだ~ 眼鏡《めがね》の度が合ってないんじゃねえのフ」
と、口では言ったが……分かってるよ。
桐乃と黒猫の口喧嘩《くちげんか》を眺めながら、俺は、日の端をほんの少しだけ持ち上げた。
よかったな、桐乃。そんなバカでかい声で、遠慮《えんりょ》なしに趣味《しゅみ》の話ができるやつ、見付かったじゃん。おまえは絶対、『そんなことない』って否定すんだろうけどよ――
それって友達っていうんだぜ?
「……さて」
俺と沙織《さおり》は、アニオタどもの抗争に巻き込まれないよう、ちょっと離《はな》れて立っている。
秋葉原《あさはばら》ワシントンホテル脇《わき》の歩道。横断歩道がすぐ目の前にある。
――こいつには桐乃の兄貴として、言っておかなきやならん台詞《せりふ》があるよな。
俺はできるだけの誠意を込めて、沙織に頭を下げた。
「ありがとうな」
「……はて? お礼を言われるようなことを、何かいたしましたかな?」
?マークを頭上に浮かべ、目元をω《こんなふう》にして首を傾《かし》げる沙織。
こいつめ、分かってるクセによ。だが、これ以上言薬を重ねても、無粋《ぶすい》になるだけだ。
言うべきことは言った。俺の気持ちは伝わったと、信じるしかない。俺は微笑した。
「アンタ、やっぱいいやつだよ。桐乃も、俺も、運がよかったと思うぜ」
「……なんのことだか分かりませぬが――ふふ、拙者《せっしゃ》はそれほどできた人間ではござらんよ? 拙者はいつも、自分がやりたいと思うことを自分勝手にやっているだけに過ぎませぬゆえ。……それでもそう思われるのであれば、それはおそらく、京介《きしょうすけ》氏自身が『いいやつ』であるからでありましょう。他人は鏡《かがみ》というではありませんかヱ そこまで言って、沙織は背のポスターを、ビームサーベルのように抜きはなった。
夕日を受けて煌《さら》めくポスター。突き付けられた切っ先をすがめ見ながら、俺は肩をすくめる。
「ふん、勝手に言ってろ」
「そういたしましょう」
沙織《さおり》は、にかーつと笑《え》んで、俺《おれ》に背を向けた。きっと素顔のこいつは、よっぽど表情豊かな女なんだろう。そう思わせるに足る、魅力的《みりょくてさ》な笑みだった。
ぐるぐる眼鏡《めがね》にバンダナ巻いて。チェックのシャツはズボンにイン。
とんだキモオタファッションだ。ダサいにもほどがあるって格好さ。
沙織は、ぶん、とサーベルを横に振って、背中のリュックに納刀する。
「では、また、いずれ必ずお会いしましょうぞ――ニン」
信号が青に変わる。黄昏《たそがれ》に染まる秋葉原《あさほばら》駅。
さっそうと歩み去っていく大きな背中は、誰《だれ》に憚《はばか》ることもなく、堂々としたもんだった。
俺も負けずに胸を張って、桐乃《きりの》のもとへと歩いていく。
那个....红色的还是缺了啊
[ 本帖最后由 糊状物 于 2009-3-3 16:37 编辑 ] 妹控糊,我就知道你会看这个……
这东西的插画居然是tabgraphic……好久没见这个人的本子了…… 是错觉?上面红色那段总觉得已经看过了。 原帖由 八九点钟的太阳 于 2009-3-3 15:17 发表 http://bbs.saraba1st.com/images/common/back.gif
这玩意儿是不是还有第二卷
有,第2卷后一半基本让我看到脱力
这书广受好评除了插图美,其他纯属轻小说党天天忍受劣币折磨,标准消失的直接表现 百度那边似乎有遗漏的翻译
我昨天才看过来着 百度太不靠谱了,精华区的翻译是不全的,完整版下载则是死链接
年轻人做事就是这样,丢三落四!
我专门搜索了帖子才找回了第三章剩下的部分
前面自己都没看过真是抱歉了各位,谢谢糊状物的提醒~ 何止2,3都快出来了
□■4月の新刊予定(2009年4月10日発売) ■□
□俺の妹がこんなに可愛いわけがない(3)
著/伏見つかさ
絵/かんざきひろ
定価/599円
这书有嘛好?我看着跟K岛上那些YY妹控文差不多。 原帖由 瓦拉几亚之夜 于 2009-3-3 21:06 发表 http://bbs.saraba1st.com/images/common/back.gif
何止2,3都快出来了
□■4月の新刊予定(2009年4月10日発売) ■□
□俺の妹がこんなに可愛いわけがない(3)
著/伏見つかさ
絵/かんざきひろ
定価/599円
这书有嘛好?我看着跟K岛上那些YY妹控文差不多。 ...
原帖由 winterfall 于 2009-3-3 12:29 发表 http://bbs.saraba1st.com/images/common/back.gif
(比乃木坂春香好玩多了)
原帖由 winterfall 于 2009-3-3 18:35 发表 http://bbs.saraba1st.com/images/common/back.gif
百度太不靠谱了,精华区的翻译是不全的,完整版下载则是死链接
年轻人做事就是这样,丢三落四!
我专门搜索了帖子才找回了第三章剩下的部分
前面自己都没看过真是抱歉了各位,谢谢糊状物的提醒~ ...
嘴上没毛,办事不牢啊,昨天我才刚下了那个不完整版本,看的云里雾里的
谢谢LZ了 原帖由 瓦拉几亚之夜 于 2009-3-3 21:06 发表
这书有嘛好?我看着跟K岛上那些YY妹控文差不多。 ...
慕名而去,阅毕同感 当初在轻国看到有人开坑,看了开头一点实在不合胃口。
年纪越大口味越刁 “……哦哦哦……你,你这家伙在妹妹的房间,用妹妹的电脑,玩对妹妹耍流氓的游戏?”
“超有趣来着!有问题吗!”
原帖由 archcross 于 2009-3-4 03:02 发表 http://bbs.saraba1st.com/images/common/back.gif
这大哥比YY文里面的主角更有喜感
K岛不是起点,被妹妹整得死去活来的哥哥不少。 原帖由 瓦拉几亚之夜 于 2009-3-4 12:04 发表 http://bbs.saraba1st.com/images/common/back.gif
K岛不是起点,被妹妹整得死去活来的哥哥不少。
求推荐 原帖由 糊状物 于 2009-3-3 16:32 发表 http://bbs.saraba1st.com/images/common/back.gif
羊の《ひつじ》群れの中に、『羊と仲良くなりたい狼《おおかみ》』を放り入れたようなもんだろ……。
狼がどんなに必死に話しかけようが、羊の方はビビリまくった上で『なんでコイツが、あたしたちの群れに混じっ ...
难怪上次那贴看时觉得不对劲。。。言射~ 原帖由 dxx9664 于 2009-3-4 12:27 发表 http://bbs.saraba1st.com/images/common/back.gif
求推荐
本人亲笔所书的《我的妹妹没有戴胸罩》 连接 原帖由 瓦拉几亚之夜 于 2009-3-4 15:16 发表 http://bbs.saraba1st.com/images/common/back.gif
本人亲笔所书的《我的妹妹没有戴胸罩》
http://img205.imageshack.us/img205/8557/gfwfwe.jpg
你这胳膊禽兽 原帖由 瓦拉几亚之夜 于 2009-3-4 15:16 发表 http://bbs.saraba1st.com/images/common/back.gif
本人亲笔所书的《我的妹妹没有戴胸罩》
我靠真的假的!给地址啊! 原帖由 瓦拉几亚之夜 于 2009-3-4 15:16 发表 http://bbs.saraba1st.com/images/common/back.gif
本人亲笔所书的《我的妹妹没有戴胸罩》
你别忽悠人民 虽然本帖重点似乎已经转移了,我还是厚颜求一下插图...........
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